希和子ちゃんは、ふいっと俺から顔を背けた。
……一瞬拒絶されたのかと思ったけれど、手にはさっきと同じように、いや、ますます力が込められた。
そして、細い小さな肩が小刻みに震えた。
また泣いちゃった……いや、泣かせてしまった。
たまらず、希和子ちゃんを抱きしめたくなあなたったけれど、施設の門前だし、啓也くんもいるし、何とか自制した。
「希和子ちゃん。とりあえず、うち、おいで。手続きは後でするから。」
こんな状態の希和子ちゃんを、残して帰れない。
「……大丈夫です。何、言われても、平気です。……みんなの気持ち、わかるから……我慢できます。」
希和子ちゃんはそう言って、俺から手を離した。
「無理はしないでください。気長に待ってますから。啓也くんもいるし。」
希和子ちゃんは顔を上げてキッパリそう言った。
「ちゃんと正規の手続きを踏まないと、義人さんが悪く言われますから。」
ちょっとショックだった。
希和子ちゃんを守りたいのに、これじゃ逆じゃないか。
「俺のことなんか、どうでもいいって。それより、希和子ちゃん、また喘息の発作が出たら……」
「どうでもよくないです。聞くに堪えない悪口を言われてはるほうが、つらいです。」
悪口……誰が?言うんだ?
「あ~希和ちゃんの入院中に、いつものボランティアさんが来てくれはってんけど、その時に、イロイロ言われてたっぽいわ。アホらしいし俺はあんまし聞いてへんけど。義人さんが大会社の御曹司やとか、成金やとか、ロリコンじゃないと思ってたけど怪しいとか、女に見境ないとか、サークル内だけじゃなくて施設の先生ともできてたとか。ほら。義人さんにふられても、セフレになりたいってゆーてたお姉ちゃん?あのお姉ちゃんの仲間のお兄ちゃんらが、あることないこと言うてたわ。」
啓也くんはそう教えてくれたけど、最後にチクリと俺に苦言を呈した。
「義人さん、詰めが甘かったんちゃう?あの手の女は、しつこいで?もうちょっとアフターケアが必要やったと思うわ。」
……その通りだ。
いや、そのつもりだったんだけど……ボランティアサークルから離れたし、夏休みでゼミもないし、アフターケアの機会もなかったというか……単に、希和子ちゃんのことで頭がいっぱいで忘れてたというか……もはや他の女なんかどうでもいいというか……。
まあ、俺が甘かったことは確かだな。
「ごめん。何とかする。ちょっと待ってて。」
俺は、啓也くんと希和子ちゃんにそう約束した。
……今日は、よく頭を下げる日だな。
……一瞬拒絶されたのかと思ったけれど、手にはさっきと同じように、いや、ますます力が込められた。
そして、細い小さな肩が小刻みに震えた。
また泣いちゃった……いや、泣かせてしまった。
たまらず、希和子ちゃんを抱きしめたくなあなたったけれど、施設の門前だし、啓也くんもいるし、何とか自制した。
「希和子ちゃん。とりあえず、うち、おいで。手続きは後でするから。」
こんな状態の希和子ちゃんを、残して帰れない。
「……大丈夫です。何、言われても、平気です。……みんなの気持ち、わかるから……我慢できます。」
希和子ちゃんはそう言って、俺から手を離した。
「無理はしないでください。気長に待ってますから。啓也くんもいるし。」
希和子ちゃんは顔を上げてキッパリそう言った。
「ちゃんと正規の手続きを踏まないと、義人さんが悪く言われますから。」
ちょっとショックだった。
希和子ちゃんを守りたいのに、これじゃ逆じゃないか。
「俺のことなんか、どうでもいいって。それより、希和子ちゃん、また喘息の発作が出たら……」
「どうでもよくないです。聞くに堪えない悪口を言われてはるほうが、つらいです。」
悪口……誰が?言うんだ?
「あ~希和ちゃんの入院中に、いつものボランティアさんが来てくれはってんけど、その時に、イロイロ言われてたっぽいわ。アホらしいし俺はあんまし聞いてへんけど。義人さんが大会社の御曹司やとか、成金やとか、ロリコンじゃないと思ってたけど怪しいとか、女に見境ないとか、サークル内だけじゃなくて施設の先生ともできてたとか。ほら。義人さんにふられても、セフレになりたいってゆーてたお姉ちゃん?あのお姉ちゃんの仲間のお兄ちゃんらが、あることないこと言うてたわ。」
啓也くんはそう教えてくれたけど、最後にチクリと俺に苦言を呈した。
「義人さん、詰めが甘かったんちゃう?あの手の女は、しつこいで?もうちょっとアフターケアが必要やったと思うわ。」
……その通りだ。
いや、そのつもりだったんだけど……ボランティアサークルから離れたし、夏休みでゼミもないし、アフターケアの機会もなかったというか……単に、希和子ちゃんのことで頭がいっぱいで忘れてたというか……もはや他の女なんかどうでもいいというか……。
まあ、俺が甘かったことは確かだな。
「ごめん。何とかする。ちょっと待ってて。」
俺は、啓也くんと希和子ちゃんにそう約束した。
……今日は、よく頭を下げる日だな。



