「帰る。」
慌てて私はベッドから降りようとして、義人氏に押しとどめられた。
「今は無理やってば。明日、担当の医師が退院OKしてくれたら、帰れるから。」
う……。
涙がにじむ。
美幸ちゃんが、いなくなってしまう。
淋しがりやの美幸ちゃんがベッドに潜り込んできてくれることに、私はどれだけ救われたか。
怖い夢を見ても、美幸ちゃんの寝相や寝言で現実に戻ってこれた。
趣味も話も性格も合わないし、お互いに理解できないけど、それでも美幸ちゃんは私にとって大切な存在だった。
俯いてポタポタ涙を落として泣いてると、ふわりと甘いイイ香りと、心地よい温かさに包まれた。
……私、今、義人氏の腕の中にいる……。
不思議。
気持ち悪くない。
むしろ、安心感を覚えた。
「俺じゃ、美幸ちゃんの代わりになれへんか?」
義人氏の低い声ってヒーリング効果ありそう。
誰にでもイイ顔する不誠実な男のはずなのに、むしろ誠意を感じる。
「美幸ちゃん、一緒に寝てくれるもん。一緒に、登下校するもん。」
子供みたいなこと言っちゃった。
義人氏は私の顔を覗き込んで笑って言った。
「いいで。毎日、送り迎えするし、希和子ちゃんが嫌じゃなければ毎晩、腕枕したるで。」
なっ!
何言うてんのー!?
もうっ!
顔から火が出そう。
そういうんじゃないし!
阿呆ちゃうか!
両手の拳をぶんぶんしながらジタバタしてると、義人氏は微笑んで、腕の力をゆるめて、私を手放した。
「希和子ちゃんの望みをかなえてあげたいんや。打ち解けてほしいし、美幸ちゃん以上に頼ってほしいし、甘えてほしい。そのためには何でもする。それだけは覚えといて。」
……ずるい。
これじゃ、自分がめちゃワガママな子供のような気がする。
むーっ。
義人氏は、むくれてる私を、目を細めて見ていた。
隠そうともしないオープンな愛情に、心がほぐれてくる。
敵わない。
私は観念して、言った。
「聞いておいてほしい話があります。」
「……うん?」
「私、男のヒトが、怖いんです。」
意外とサラリと言えた。
義人氏は、椅子を私のすぐ横まで引き寄せて座ると、まじまじと私を見てうなずいた。
「そうみたいやね。でも、啓也くんと俺は、大丈夫みたいやん。安心した。」
そうきたか!
ほんと、義人氏って、嫌になるほど前向きに流してくれるわ。
「義人さんは紳士的に接してくれてたし、ロリコンじゃないし、女に不自由してへんから。でも、義人さんのお父さんに対しても同じように怖がらないでいられる自信はありません。」
知らず知らずのうちに、両手がぎゅっとシーツを握りしめていた。
慌てて私はベッドから降りようとして、義人氏に押しとどめられた。
「今は無理やってば。明日、担当の医師が退院OKしてくれたら、帰れるから。」
う……。
涙がにじむ。
美幸ちゃんが、いなくなってしまう。
淋しがりやの美幸ちゃんがベッドに潜り込んできてくれることに、私はどれだけ救われたか。
怖い夢を見ても、美幸ちゃんの寝相や寝言で現実に戻ってこれた。
趣味も話も性格も合わないし、お互いに理解できないけど、それでも美幸ちゃんは私にとって大切な存在だった。
俯いてポタポタ涙を落として泣いてると、ふわりと甘いイイ香りと、心地よい温かさに包まれた。
……私、今、義人氏の腕の中にいる……。
不思議。
気持ち悪くない。
むしろ、安心感を覚えた。
「俺じゃ、美幸ちゃんの代わりになれへんか?」
義人氏の低い声ってヒーリング効果ありそう。
誰にでもイイ顔する不誠実な男のはずなのに、むしろ誠意を感じる。
「美幸ちゃん、一緒に寝てくれるもん。一緒に、登下校するもん。」
子供みたいなこと言っちゃった。
義人氏は私の顔を覗き込んで笑って言った。
「いいで。毎日、送り迎えするし、希和子ちゃんが嫌じゃなければ毎晩、腕枕したるで。」
なっ!
何言うてんのー!?
もうっ!
顔から火が出そう。
そういうんじゃないし!
阿呆ちゃうか!
両手の拳をぶんぶんしながらジタバタしてると、義人氏は微笑んで、腕の力をゆるめて、私を手放した。
「希和子ちゃんの望みをかなえてあげたいんや。打ち解けてほしいし、美幸ちゃん以上に頼ってほしいし、甘えてほしい。そのためには何でもする。それだけは覚えといて。」
……ずるい。
これじゃ、自分がめちゃワガママな子供のような気がする。
むーっ。
義人氏は、むくれてる私を、目を細めて見ていた。
隠そうともしないオープンな愛情に、心がほぐれてくる。
敵わない。
私は観念して、言った。
「聞いておいてほしい話があります。」
「……うん?」
「私、男のヒトが、怖いんです。」
意外とサラリと言えた。
義人氏は、椅子を私のすぐ横まで引き寄せて座ると、まじまじと私を見てうなずいた。
「そうみたいやね。でも、啓也くんと俺は、大丈夫みたいやん。安心した。」
そうきたか!
ほんと、義人氏って、嫌になるほど前向きに流してくれるわ。
「義人さんは紳士的に接してくれてたし、ロリコンじゃないし、女に不自由してへんから。でも、義人さんのお父さんに対しても同じように怖がらないでいられる自信はありません。」
知らず知らずのうちに、両手がぎゅっとシーツを握りしめていた。



