「私は、逆。堅い仕事がいい。公務員になる。絶対なる。それまでココでがんばる。」
照美ちゃんはキッパリそう言った。
らしいな、と思った。
「希和ちゃんは?どうするの?……抵抗あるのはわかるけど、良さそうなお家に里子にしてもろたほうがいいんちゃうか?」
突然照美ちゃんにそう言われて驚いた。
……義人氏母の話を既に知ってるのかと思ったけれど、どうやらそうじゃないらしい。
「うん。私もそう思う。うちらと違って、希和ちゃんは将来面倒みなあかん親もいいひんねんし、自分のためだけに生きられるんやし。」
美幸ちゃんの言いぐさが、ちょっとおかしかった。
今までさんざん孤児だということで憐れまれてきたのに、親がいないことが強みになるように言われるなんて。
「まあ、里親がここよりマシかどうかは行ってみなわからんけど。今までみたいに、逢いもせんと断ってんと、次から逢うだけ逢ってみたら?」
ああ。
美幸ちゃん、本気でココを出るつもりなんだ。
口は悪いし、ワガママだし、私のことを理解しようともしないけれど、それでも今までは私を守ろうとしてくれていた美幸ちゃんが、私の手を放そうとしているのを感じた。
いや、私を安心できる誰かに託したい、というところか。
勝手だ。
でも、美幸ちゃんなりに私を心配してくれてるのはわかってる。
わかってるけど……。
「ココに居たい。美幸ちゃんと、照美ちゃんと、啓也くんと……」
子どもみたいなこと言ってしまった。
涙が、こみ上げてきた。
早くオトナになりたい、とずっと思っていた。
でも、オトナになることが、みんなと離れることだなんて……嫌だ。
私にとって、ココは家で、みんなは家族だ。
「希和ちゃん。そんなん言うてたら、恋愛も結婚もできひんで。いい加減、オトナになり。」
美幸ちゃんの口調がちょっときつくなった。
「……いい。恋愛なんて興味ない。男の人、嫌い。」
鼻水を啜りながらそう言うと、美幸ちゃんが怒った。
「もう!いつまでそんなこと言うてるん!?希和ちゃん、レイプされたわけでもないのに、いつまで殻に閉じこもってるん!」
「美幸ちゃん!」
レイプ、という言葉を聞いただけで、ぐぐっと喉の奥がせり上がったような不思議な感触がした。
耳の下がドクドクと音を立てているような気がする。
そして呼吸ができなくなった。
苦しいっ!
ヒューヒューと、気道で変な音がする。
カハッ!
ハッ!
と、気合いを入れないと息が吐けないし、吸えない。
「息!苦しっ!」
涙と汗と唾液は出るのに、呼気がなかなか出てこない。
「待ってて!先生、呼んでくるっ!」
照美ちゃんが建物に飛んで行く。
「救急車呼んだほうが早い!」
美幸ちゃんは持ってた携帯電話で救急車を呼びつけた。
照美ちゃんはキッパリそう言った。
らしいな、と思った。
「希和ちゃんは?どうするの?……抵抗あるのはわかるけど、良さそうなお家に里子にしてもろたほうがいいんちゃうか?」
突然照美ちゃんにそう言われて驚いた。
……義人氏母の話を既に知ってるのかと思ったけれど、どうやらそうじゃないらしい。
「うん。私もそう思う。うちらと違って、希和ちゃんは将来面倒みなあかん親もいいひんねんし、自分のためだけに生きられるんやし。」
美幸ちゃんの言いぐさが、ちょっとおかしかった。
今までさんざん孤児だということで憐れまれてきたのに、親がいないことが強みになるように言われるなんて。
「まあ、里親がここよりマシかどうかは行ってみなわからんけど。今までみたいに、逢いもせんと断ってんと、次から逢うだけ逢ってみたら?」
ああ。
美幸ちゃん、本気でココを出るつもりなんだ。
口は悪いし、ワガママだし、私のことを理解しようともしないけれど、それでも今までは私を守ろうとしてくれていた美幸ちゃんが、私の手を放そうとしているのを感じた。
いや、私を安心できる誰かに託したい、というところか。
勝手だ。
でも、美幸ちゃんなりに私を心配してくれてるのはわかってる。
わかってるけど……。
「ココに居たい。美幸ちゃんと、照美ちゃんと、啓也くんと……」
子どもみたいなこと言ってしまった。
涙が、こみ上げてきた。
早くオトナになりたい、とずっと思っていた。
でも、オトナになることが、みんなと離れることだなんて……嫌だ。
私にとって、ココは家で、みんなは家族だ。
「希和ちゃん。そんなん言うてたら、恋愛も結婚もできひんで。いい加減、オトナになり。」
美幸ちゃんの口調がちょっときつくなった。
「……いい。恋愛なんて興味ない。男の人、嫌い。」
鼻水を啜りながらそう言うと、美幸ちゃんが怒った。
「もう!いつまでそんなこと言うてるん!?希和ちゃん、レイプされたわけでもないのに、いつまで殻に閉じこもってるん!」
「美幸ちゃん!」
レイプ、という言葉を聞いただけで、ぐぐっと喉の奥がせり上がったような不思議な感触がした。
耳の下がドクドクと音を立てているような気がする。
そして呼吸ができなくなった。
苦しいっ!
ヒューヒューと、気道で変な音がする。
カハッ!
ハッ!
と、気合いを入れないと息が吐けないし、吸えない。
「息!苦しっ!」
涙と汗と唾液は出るのに、呼気がなかなか出てこない。
「待ってて!先生、呼んでくるっ!」
照美ちゃんが建物に飛んで行く。
「救急車呼んだほうが早い!」
美幸ちゃんは持ってた携帯電話で救急車を呼びつけた。



