「うん。かわいい。上手ねえ。感心しちゃった。希和子ちゃん、ほんと器用だわ。ね、おばさんのも作ってくれない?」
へ?
驚いて、見上げた。
淡い水色のふんわりしたドレスと言っても差し支えなさそうなワンピースに白い麻のジャケットの義人氏母。
どこからどう見ても、一流品しか身に付けてなさそうなこのヒトのものを?
「下駄なんか履くことあるんですか?」
「ええ。草履も下駄も、履くわよ。お庭も庭下駄だし。」
義人氏母はそう言って、少し背を屈めて、私の目を覗き込むように顔を近づけた。
……義人氏と同じだ……。
ドキドキしてると、義人氏母は、私をさらに驚かせた。
「ね。もしよければ、うちに来ない?おばさん、淋しいの。主人は忙しいし、娘は東京暮らし。息子は、毎日飛び回ってて家にほとんどいないし。」
「うちって、義人氏のうち……?あ。じゃあ、友達も一緒にお邪魔していいですか?美幸ちゃんも照美ちゃんも啓也くんも、義人さんのこと、大好きなんです。みんな、喜びます。」
思わず「義人氏」って呼んじゃった!
ばつが悪くて、焦ってそうたたみかけてごまかした。
でも、義人氏母は、首を傾げた。
「うーん。どうしよっかな……あ、いえ、いいのよ。遊びにきてくれるのは、何人でも!でもね、そういう意味で言ったんじゃないの。あのね、おばさん、希和子ちゃんの里親になりたいの。うちで、一緒に暮らさない?」
……さすがに、びっくりした。
突然過ぎる申し出に、私の頭は真っ白になった。
里親って、里親よね?
私が里子になるのよね?
ええええ……。
ポカンとしてると、義人氏母が私の髪をそっと撫でた。
つい、反射的にビクッと首をすくめてしまった。
怖くないのに。
義人氏母の瞳に涙が浮かんだ。
「……聞いたわ。施設長に。……恐ろしい想いをしたのね。かわいそうに。」
まるでピストルで心臓を打ち抜かれたかのように、強い痛みが全身を貫いた。
ガタガタと、勝手に身体が震えだした。
すると、義人氏母が突然私をぎゅっと抱きしめた!
「希和子ちゃん?……ごめん!ごめんね!そんなつもりじゃなかったの!ごめん!」
なぜ、謝るんだろう。
義人氏母は、何も悪くないのに。
「大丈夫です。ごめんなさい。驚かせて。私、大丈夫ですから。」
そう言って、義人氏母から離れようとしたけど、放してもらえなかった。
びっくりするぐらい柔らかい胸や腕に抱かれるのは、気恥ずかしいけれど、気持ちよかった。
お母さん、ってこんな感じなんだろうか。
父も母も知らない私には、義人氏母の優しさと温かさは夢の世界のように現実感のないものだった。
甘いイイ香りもまた、心を穏やかに落ち着かせてくれた。
いつの間にか、震えは止まっていた。
鼻の奥がつーんとして、涙が滲んだ。
へ?
驚いて、見上げた。
淡い水色のふんわりしたドレスと言っても差し支えなさそうなワンピースに白い麻のジャケットの義人氏母。
どこからどう見ても、一流品しか身に付けてなさそうなこのヒトのものを?
「下駄なんか履くことあるんですか?」
「ええ。草履も下駄も、履くわよ。お庭も庭下駄だし。」
義人氏母はそう言って、少し背を屈めて、私の目を覗き込むように顔を近づけた。
……義人氏と同じだ……。
ドキドキしてると、義人氏母は、私をさらに驚かせた。
「ね。もしよければ、うちに来ない?おばさん、淋しいの。主人は忙しいし、娘は東京暮らし。息子は、毎日飛び回ってて家にほとんどいないし。」
「うちって、義人氏のうち……?あ。じゃあ、友達も一緒にお邪魔していいですか?美幸ちゃんも照美ちゃんも啓也くんも、義人さんのこと、大好きなんです。みんな、喜びます。」
思わず「義人氏」って呼んじゃった!
ばつが悪くて、焦ってそうたたみかけてごまかした。
でも、義人氏母は、首を傾げた。
「うーん。どうしよっかな……あ、いえ、いいのよ。遊びにきてくれるのは、何人でも!でもね、そういう意味で言ったんじゃないの。あのね、おばさん、希和子ちゃんの里親になりたいの。うちで、一緒に暮らさない?」
……さすがに、びっくりした。
突然過ぎる申し出に、私の頭は真っ白になった。
里親って、里親よね?
私が里子になるのよね?
ええええ……。
ポカンとしてると、義人氏母が私の髪をそっと撫でた。
つい、反射的にビクッと首をすくめてしまった。
怖くないのに。
義人氏母の瞳に涙が浮かんだ。
「……聞いたわ。施設長に。……恐ろしい想いをしたのね。かわいそうに。」
まるでピストルで心臓を打ち抜かれたかのように、強い痛みが全身を貫いた。
ガタガタと、勝手に身体が震えだした。
すると、義人氏母が突然私をぎゅっと抱きしめた!
「希和子ちゃん?……ごめん!ごめんね!そんなつもりじゃなかったの!ごめん!」
なぜ、謝るんだろう。
義人氏母は、何も悪くないのに。
「大丈夫です。ごめんなさい。驚かせて。私、大丈夫ですから。」
そう言って、義人氏母から離れようとしたけど、放してもらえなかった。
びっくりするぐらい柔らかい胸や腕に抱かれるのは、気恥ずかしいけれど、気持ちよかった。
お母さん、ってこんな感じなんだろうか。
父も母も知らない私には、義人氏母の優しさと温かさは夢の世界のように現実感のないものだった。
甘いイイ香りもまた、心を穏やかに落ち着かせてくれた。
いつの間にか、震えは止まっていた。
鼻の奥がつーんとして、涙が滲んだ。



