『侠客と角力』という本が復刊されていたのは、資料館で読んできた。
江戸の風俗研究家の語り口調の文体はおもしろいけれど……もの足りない。
だから義人氏も、納得できずに調べ続けていたのか。
義人氏は、現代のやくざに繋がる相撲頭取を当たっているので、私はアプローチをかえて興行としての大坂相撲を調べたいと思った。
でも、刊行本はない。
研究者の論文、江戸時代の和綴本、あとは……古文書?
もちろん今の私には手も足も出ない。
でも、読んでみたい。
そのために、まずは木版刷りの和綴本はうってつけのテキストだと思ったのだ。
「旧漢字だけでもわけわからんのに、よぉやるわ。」
と、啓也くんにも言われた。
……でも、楽しいよ?
どうして、今、旧漢字も旧仮名遣いも使わなくなっちゃったんだろう、って不思議。
無理矢理今の漢字やひらがなに当てはめても、やっぱり正しい意味が通らないことも多いのに。
知りたいことがいっぱいある。
和歌や外国の古い詩も勉強したい。
機械や自然界はあまり興味がないけれど、その機械を作り出したヒトや、自然を祀ったり自然に挑むヒトに興味が尽きない。
「自分のことは?知りたくないの?」
何気に、照美ちゃんにそう聞かれたことがある。
「……知りたくないと言えば嘘になるけど、知るのが怖い。」
そう答えると
「希和ちゃんらしいわ。」
と言われた。
同い年の美幸ちゃんより、一つ下の照美ちゃんのほうが、私を理解してるのかもしれない。
……どうせろくでもない人間だ……子供を産み捨てるような親なんか、いらない。
会いたくない。
冷静に考えればそう結論を出せる。
でも、それでも、何らかのやむにやまれない事情があったのではないだろうか?と、変な期待をしてしまう。
いっそ、赤毛のアンや、アルペンローゼのジャン=ジャックのように、両親が死んでしまっていたとわかったら救われるのに。
ああ、落ち込みそう。
こんな時は、単純作業に切り替えよう。
私は、みんなの下駄の鼻緒をせっせと縫って、すげ替えた。
古びて黒ずんだ白木の下駄も、何ヶ所か剥げてしまった塗りの下駄も、真新しい鼻緒の存在感でかわいくなったように感じた。
「あれー?じゃりン子チエちゃうやん。すごくかわいいんちゃう?それ。全部希和子ちゃんが作ったん?」
また、3日とあけず義人氏はやってくるようになった。
「……じゃりン子チエと、どう違うんですか?」
そもそも、じゃりン子チエをよくわかってなのでそう聞いてみた。
江戸の風俗研究家の語り口調の文体はおもしろいけれど……もの足りない。
だから義人氏も、納得できずに調べ続けていたのか。
義人氏は、現代のやくざに繋がる相撲頭取を当たっているので、私はアプローチをかえて興行としての大坂相撲を調べたいと思った。
でも、刊行本はない。
研究者の論文、江戸時代の和綴本、あとは……古文書?
もちろん今の私には手も足も出ない。
でも、読んでみたい。
そのために、まずは木版刷りの和綴本はうってつけのテキストだと思ったのだ。
「旧漢字だけでもわけわからんのに、よぉやるわ。」
と、啓也くんにも言われた。
……でも、楽しいよ?
どうして、今、旧漢字も旧仮名遣いも使わなくなっちゃったんだろう、って不思議。
無理矢理今の漢字やひらがなに当てはめても、やっぱり正しい意味が通らないことも多いのに。
知りたいことがいっぱいある。
和歌や外国の古い詩も勉強したい。
機械や自然界はあまり興味がないけれど、その機械を作り出したヒトや、自然を祀ったり自然に挑むヒトに興味が尽きない。
「自分のことは?知りたくないの?」
何気に、照美ちゃんにそう聞かれたことがある。
「……知りたくないと言えば嘘になるけど、知るのが怖い。」
そう答えると
「希和ちゃんらしいわ。」
と言われた。
同い年の美幸ちゃんより、一つ下の照美ちゃんのほうが、私を理解してるのかもしれない。
……どうせろくでもない人間だ……子供を産み捨てるような親なんか、いらない。
会いたくない。
冷静に考えればそう結論を出せる。
でも、それでも、何らかのやむにやまれない事情があったのではないだろうか?と、変な期待をしてしまう。
いっそ、赤毛のアンや、アルペンローゼのジャン=ジャックのように、両親が死んでしまっていたとわかったら救われるのに。
ああ、落ち込みそう。
こんな時は、単純作業に切り替えよう。
私は、みんなの下駄の鼻緒をせっせと縫って、すげ替えた。
古びて黒ずんだ白木の下駄も、何ヶ所か剥げてしまった塗りの下駄も、真新しい鼻緒の存在感でかわいくなったように感じた。
「あれー?じゃりン子チエちゃうやん。すごくかわいいんちゃう?それ。全部希和子ちゃんが作ったん?」
また、3日とあけず義人氏はやってくるようになった。
「……じゃりン子チエと、どう違うんですか?」
そもそも、じゃりン子チエをよくわかってなのでそう聞いてみた。



