夢が醒めなくて

……マジ、かわいいし。
どんな美人より、俺には希和が最高に愛しいよ。

「さやか嬢って、たぶん、今までずっと男に興味なかったんやと思う。……原さんが調べて教えてくれてんけどな、さやか嬢が同棲してる恋人って、女の子みたいや。」
「……え?」

意味がわからないらしく、希和は目をぱちくりした。
まあ、そりゃそうだよな。 
けっこう男と遊んでる話、聞いてたし……でも、まさしく身体だけ、だったわけだ。

本命は、地銀にお勤めの真面目で地味そうな女の子。
……以前、さやか嬢と飲みに来てた子のようだ。

「レズってこと?……正美お姉さん、女同士もネタに描くのかな。」
希和が首を傾げてそうつぶやいた。

「心は女が好きでも、身体は男がよかったんやろ。……さやか嬢は、立場上普通に男と結婚して後継者を産む必要があったから、俺なら都合いいと思ってたんやろーなー。……ほんと、俺のこと、わかってないよな。」

俺、一途なのに。

「わかってほしかったら、ちゃんと周囲にも行動で示さないと伝わらないと思う。」
ちょっと拗ねたように希和がそう言った。
「……そやな。」

その通りだよな。
わかってるよ。
ごめんな。
もう少し待ってくれ。

そっと希和を抱き寄せる。
希和もまた、きゅっと俺にしがみついてくる。
……この愛しい存在を、少しも悲しませたくないから……


「お母さんが、」
希和がポソッと言った。

「……うん?」
ひたいに唇を押し付けながら、先を促さす。

「お母さん、桜子ちゃんに話し掛けたいのにできないみたいで、ずっと見てた。……何か、せつなくて……」
「……そうやったんや。」
「うん。だからね、……あの……」

希和はもじもじとして、うつむいた。
言葉にしなくても、伝わってくる。

「成人式に振袖、着られへんくなってもいいんか?」
そう聞いたら、希和は頬を染めてうなずいた。

……ありがとうな。






かつて、総会屋という人物または組織がいた。
ごく少数の株しか保有してないのに、株主総会に乗り込み、大声で異議を唱えて議事進行の邪魔をする……現在も国会中継で見られる下品な議員のような振舞で企業をゆすって不当に金銭を得ていたが、1981年からの会社法改正で激減した。

まあ、コンサルタントという名目で現在もいないことはないのだが、いわゆる会社ゴロは過去のモノだと思っていた。

……が……