「何でやろ。原さん、ヤンキー臭は一切しいひんね。怖いけど、もっと筋が通ってるというか……」
夜桜を眺めながらビールで喉を潤して、啓也くんが言った。
「本人は、若い頃チンピラやったとかゆーてはったけど、そんな三下(さんした)感はないよな。」
俺は、黒ヂョカから温めた芋焼酎の原酒を杯に注いで煽りながらそう答えた。
「ずっと前に、相撲頭取のこと調べてたん、覚えてる?」
桜の香りの紅茶を飲みながら、突然希和がそう言い出した。
ギクリとした。
「相撲頭取?何か、昔、聞いた記憶があるかも。」
啓也くんが首をひねる。
「明治以前に相撲興行を取り仕切ってた顔役のことや。」
俺が簡単にそう説明すると、希和が上目遣いに俺を見て聞いた。
「あの頃は何で調べてはるんかよくわからんかったけど……去年やったかな、孝義くんのお寺の古文書の中に見つけてん。摂津出身の原っていう相撲頭取がいた。……それが原さんのルーツ?」
……そんなマイナーなの、よく見つけたな。
例の、孝義くんの守護霊の協力か?
俺は諦めてうなずいた。
「バレたか。まあ、そうやと思うわ。原さん自身が知ってはるかどうか知らんけど。……てか、そんな昔の話、興味あらはらへんような気もするけどな。」
希和が言いにくそうに言った。
「でもその相撲頭取の原さん、鳥羽伏見の戦いで死んではる。……もし生き残ってはったら、原さん、大きな指定暴力団の跡取りやったんかも。……原さんがヤクザさんじゃなくてよかった。」
……へ、返事できない。
原さんは、限りなく黒に近いグレーだよ。
でも、そんなことはどうでもいい。
たとえ、原さんの親父さんが鉄砲玉でも、お母さんが有名な総会屋の娘さんだったとしても、原さん自身がどれだけ荒れていたとしても、父親の片腕だった年月こそが大事なんだから。
……まあ、結局、原さんのグレーゾーンに頼ってしまったけど。
「照美ちゃんにも来てもらえばよかった。」
その夜は、何となく秘め事気分でしっぼりとまぐわった。
別棟とは言え、うちに啓也くんが泊まってると思うと背徳感がいや増した。
この上、照美ちゃんまでいたら、気ぃ使うわ。
「照美ちゃん、公務員試験の予備校始まったんやな。……受かるといいなあ。」
そう言ったら、希和がぐりぐりと頬を擦り付けてきた。
どうしたどうした?
ちょっとびっくりして希和の頭を撫でて、目を覗く。
夜桜を眺めながらビールで喉を潤して、啓也くんが言った。
「本人は、若い頃チンピラやったとかゆーてはったけど、そんな三下(さんした)感はないよな。」
俺は、黒ヂョカから温めた芋焼酎の原酒を杯に注いで煽りながらそう答えた。
「ずっと前に、相撲頭取のこと調べてたん、覚えてる?」
桜の香りの紅茶を飲みながら、突然希和がそう言い出した。
ギクリとした。
「相撲頭取?何か、昔、聞いた記憶があるかも。」
啓也くんが首をひねる。
「明治以前に相撲興行を取り仕切ってた顔役のことや。」
俺が簡単にそう説明すると、希和が上目遣いに俺を見て聞いた。
「あの頃は何で調べてはるんかよくわからんかったけど……去年やったかな、孝義くんのお寺の古文書の中に見つけてん。摂津出身の原っていう相撲頭取がいた。……それが原さんのルーツ?」
……そんなマイナーなの、よく見つけたな。
例の、孝義くんの守護霊の協力か?
俺は諦めてうなずいた。
「バレたか。まあ、そうやと思うわ。原さん自身が知ってはるかどうか知らんけど。……てか、そんな昔の話、興味あらはらへんような気もするけどな。」
希和が言いにくそうに言った。
「でもその相撲頭取の原さん、鳥羽伏見の戦いで死んではる。……もし生き残ってはったら、原さん、大きな指定暴力団の跡取りやったんかも。……原さんがヤクザさんじゃなくてよかった。」
……へ、返事できない。
原さんは、限りなく黒に近いグレーだよ。
でも、そんなことはどうでもいい。
たとえ、原さんの親父さんが鉄砲玉でも、お母さんが有名な総会屋の娘さんだったとしても、原さん自身がどれだけ荒れていたとしても、父親の片腕だった年月こそが大事なんだから。
……まあ、結局、原さんのグレーゾーンに頼ってしまったけど。
「照美ちゃんにも来てもらえばよかった。」
その夜は、何となく秘め事気分でしっぼりとまぐわった。
別棟とは言え、うちに啓也くんが泊まってると思うと背徳感がいや増した。
この上、照美ちゃんまでいたら、気ぃ使うわ。
「照美ちゃん、公務員試験の予備校始まったんやな。……受かるといいなあ。」
そう言ったら、希和がぐりぐりと頬を擦り付けてきた。
どうしたどうした?
ちょっとびっくりして希和の頭を撫でて、目を覗く。



