啓也くんが逮捕されてすぐ、弁護士の堀正美お姉さんが東京へ行ってくださった。
世田谷刑務所の留置場からの釈放に尽力してくださったおかげで、啓也くんは28日の御用納めの日に京都に帰って来れた。
このまま在宅のままで家裁での少年審判を待つことができそうで、ホッとした。
「まだホッとするには早い!少年院送致には絶対させないけど、不処分は厳しい状況。保護観察は免れないかも。」
正美お姉さんはそう言ったけど、啓也くんは落ち込んでも不安そうでもなかった。
「俺が悪いんやから、どんな処分でも甘んじて受けます。ご迷惑おかけしてすみません。」
何となくうれしそうな啓也くんに後から理由を聞いたら、美幸ちゃんが警察署まで来て証言してくれたらしい。
施設で一緒に育ったのに何年も音信不通になった美幸ちゃんを探すためだけのハッキングだったことを。
聞けば、今回補導されたのも、美幸ちゃんの住居を探していたのを近隣住民に不審者と通報されたそうだ。
「まあでも、亡くなられたお父さんのおかげで拘留延期を免れたわね。学生運動の革命戦士じゃあ警察官にスカウトできないもんね~。」
きゃらきゃらと笑う正美お姉さんに、啓也くんは苦笑していた。
孝義くんの言う通り、スカウトされるところやったんや……。
「残念なお知らせもあるで。学校は退学処分になったそうや。」
義人氏がそう言うと、啓也くんは深々と頭を下げた。
「奨学金出してもらったのに、卒業できなくてすみません!学費は何年かかっても働いて返します!」
潔すぎてかっこいいよ、啓也くん。
正美お姉さんは義人氏を見て言った。
「もし就職するなら、うちの事務所にスカウトしたいんだけど?竹原くん?」
「へ?」
驚く啓也くんに、義人氏は笑いかけた。
「まあ、そういうことや。警察も欲しがる腕や。どこ行っても重宝されるわ。正美ちゃんとこはやめときぃ。中卒の給与規定に雀の涙ほどの能力給がプラスされるだけやで。それやったら、俺のもとで働かんか?」
「……だって、義人さんの会社って……超一流大企業やん。俺なんかが就職できるとこちゃうやん。」
啓也くんは、一瞬見せたうれしそうな顔を、さっと曇らせてそう言った。
義人氏は正美お姉さんと意味ありげに顔を見合わせると、軽くうなずき合って小声で言った。
「これ、トップシークレットな。俺の父は会社を拡大し続けるけど、俺の代になったら整理してくつもりや。社員が路頭に迷わんように、売却じゃなくて適材に任せて独立させてく。最終的には優良中企業ぐらいまで縮小予定。そのためには、とにかく情報が必要なんや。手伝ってくれへんか?」
……そんなこと考えてたんだ。
世田谷刑務所の留置場からの釈放に尽力してくださったおかげで、啓也くんは28日の御用納めの日に京都に帰って来れた。
このまま在宅のままで家裁での少年審判を待つことができそうで、ホッとした。
「まだホッとするには早い!少年院送致には絶対させないけど、不処分は厳しい状況。保護観察は免れないかも。」
正美お姉さんはそう言ったけど、啓也くんは落ち込んでも不安そうでもなかった。
「俺が悪いんやから、どんな処分でも甘んじて受けます。ご迷惑おかけしてすみません。」
何となくうれしそうな啓也くんに後から理由を聞いたら、美幸ちゃんが警察署まで来て証言してくれたらしい。
施設で一緒に育ったのに何年も音信不通になった美幸ちゃんを探すためだけのハッキングだったことを。
聞けば、今回補導されたのも、美幸ちゃんの住居を探していたのを近隣住民に不審者と通報されたそうだ。
「まあでも、亡くなられたお父さんのおかげで拘留延期を免れたわね。学生運動の革命戦士じゃあ警察官にスカウトできないもんね~。」
きゃらきゃらと笑う正美お姉さんに、啓也くんは苦笑していた。
孝義くんの言う通り、スカウトされるところやったんや……。
「残念なお知らせもあるで。学校は退学処分になったそうや。」
義人氏がそう言うと、啓也くんは深々と頭を下げた。
「奨学金出してもらったのに、卒業できなくてすみません!学費は何年かかっても働いて返します!」
潔すぎてかっこいいよ、啓也くん。
正美お姉さんは義人氏を見て言った。
「もし就職するなら、うちの事務所にスカウトしたいんだけど?竹原くん?」
「へ?」
驚く啓也くんに、義人氏は笑いかけた。
「まあ、そういうことや。警察も欲しがる腕や。どこ行っても重宝されるわ。正美ちゃんとこはやめときぃ。中卒の給与規定に雀の涙ほどの能力給がプラスされるだけやで。それやったら、俺のもとで働かんか?」
「……だって、義人さんの会社って……超一流大企業やん。俺なんかが就職できるとこちゃうやん。」
啓也くんは、一瞬見せたうれしそうな顔を、さっと曇らせてそう言った。
義人氏は正美お姉さんと意味ありげに顔を見合わせると、軽くうなずき合って小声で言った。
「これ、トップシークレットな。俺の父は会社を拡大し続けるけど、俺の代になったら整理してくつもりや。社員が路頭に迷わんように、売却じゃなくて適材に任せて独立させてく。最終的には優良中企業ぐらいまで縮小予定。そのためには、とにかく情報が必要なんや。手伝ってくれへんか?」
……そんなこと考えてたんだ。



