「義人くんみたいに見よう見まねで何でもできるヒトはおいといて、希和子ちゃんは頭で理解して納得しないと身につかないタイプみたいだね。僕と一緒。ゆっくり時間をかけて学んでいけばいいからね。」
恭匡さんはそう言って、ニコニコと希和を諭した。
あまり書に意欲的ではなかった希和は、今後もずっと東京まで習いに来ることが嫌だったようだ。
「あの~、お義兄さん、いつまでこっちに東京にお住まいなんですか?お姉ちゃんが大学を卒業されたら、京都に帰って来られませんか?」
「へ?」
恭匡さんはキョトンとした。
まあ、そうだろう。
恭匡さんは京都大好きなヒトだけど、東京生まれの東京育ち。
中学高校は北海道だったけど、京都で暮らしたことはない。
だから、「帰る」と言われても、意味がわからないだろうよ。
希和を窘めようとしたら、その前に百合子が恭匡さんに言った。
「そういえば、竜安寺のそばのお家、覚えてらっしゃいますか?昔、大叔父さまのお住まいだった数寄屋門のお屋敷。売りに出ていたので、継父に抑えていただきました。」
「え?ホント?欲しい!」
「……そう仰(おっしゃ)ると思ってましたわ。」
百合子は嫣然とほほえんで、それから続けた。
「秋に主人は京都の大学院を受験します。合格したら、来春、私達夫婦は京都に帰ります。由未さんも卒業されることですし、恭匡さんもお引っ越しされませんか?この子に書の英才教育をしていただくためにも、近くにお住まいのほうがうれしいのですが。」
「うーん。そうだね~。碧生くんがいなくなっちゃうのは淋しいなあ。」
恭匡さんはよほど碧生くんを気に入ってるらしい。
「お姉ちゃんの身体も心配なので、京都に住まはりませんか。」
希和にもそうお願いされて、恭匡さんは本気で考え込んでしまった。
「恭匡(やすまさ)さまが、来年、由未の卒業を機に、京都に引っ越して来られることにされたそうだ。」
しばらくして、恭匡さんは本当に竜安寺のそばの屋敷を購入したらしい。
「じゃあ、由未も……。そうですか。これで、少しは手助けしてあげられますね。」
母親は涙ぐんで喜んだ。
「まあ、料理は由未のじゃないと恭匡さん、食べはらへんかもやけど。……希和のだめ押しが効いたな。」
そう言って希和の頭を撫でてみた。
希和は、猫のように目を細めて満足そうだ。
……このまま抱きしめたら、どんな顔するんだろう。
最近、よく、そんな衝動にかられる。
希和が欲しい。
恭匡さんはそう言って、ニコニコと希和を諭した。
あまり書に意欲的ではなかった希和は、今後もずっと東京まで習いに来ることが嫌だったようだ。
「あの~、お義兄さん、いつまでこっちに東京にお住まいなんですか?お姉ちゃんが大学を卒業されたら、京都に帰って来られませんか?」
「へ?」
恭匡さんはキョトンとした。
まあ、そうだろう。
恭匡さんは京都大好きなヒトだけど、東京生まれの東京育ち。
中学高校は北海道だったけど、京都で暮らしたことはない。
だから、「帰る」と言われても、意味がわからないだろうよ。
希和を窘めようとしたら、その前に百合子が恭匡さんに言った。
「そういえば、竜安寺のそばのお家、覚えてらっしゃいますか?昔、大叔父さまのお住まいだった数寄屋門のお屋敷。売りに出ていたので、継父に抑えていただきました。」
「え?ホント?欲しい!」
「……そう仰(おっしゃ)ると思ってましたわ。」
百合子は嫣然とほほえんで、それから続けた。
「秋に主人は京都の大学院を受験します。合格したら、来春、私達夫婦は京都に帰ります。由未さんも卒業されることですし、恭匡さんもお引っ越しされませんか?この子に書の英才教育をしていただくためにも、近くにお住まいのほうがうれしいのですが。」
「うーん。そうだね~。碧生くんがいなくなっちゃうのは淋しいなあ。」
恭匡さんはよほど碧生くんを気に入ってるらしい。
「お姉ちゃんの身体も心配なので、京都に住まはりませんか。」
希和にもそうお願いされて、恭匡さんは本気で考え込んでしまった。
「恭匡(やすまさ)さまが、来年、由未の卒業を機に、京都に引っ越して来られることにされたそうだ。」
しばらくして、恭匡さんは本当に竜安寺のそばの屋敷を購入したらしい。
「じゃあ、由未も……。そうですか。これで、少しは手助けしてあげられますね。」
母親は涙ぐんで喜んだ。
「まあ、料理は由未のじゃないと恭匡さん、食べはらへんかもやけど。……希和のだめ押しが効いたな。」
そう言って希和の頭を撫でてみた。
希和は、猫のように目を細めて満足そうだ。
……このまま抱きしめたら、どんな顔するんだろう。
最近、よく、そんな衝動にかられる。
希和が欲しい。



