「ごめん。竹原先輩に迎えに来てもらおうか?」
春秋くんがスマホを取り出してそう言ったけど、私は首を横に振った。
「いい。しばらくしたら落ち着くから。……春秋くん、帰って。」
「あほな!そんな状態の希和子ちゃんをほっとけるけないやん。」
「じゃあ、ちょっとあっち行って!今は無理!怖いねん!近づかんといて!」
思ったより大きな声でそうわめいてしまった。
春秋くんは絶句してしまった。
……傷つけた。
ごめん。
私は震える身体を両手で抱きしめて、うずくまった。
春秋くんは何も言わずに少し離れたところで待っているつもりらしい。
けっこうなプレッシャーを感じる。
顔も見たくない、とは思わない。
でも、今は恐怖心がどうしても消えてくれない。
しばらくじっとしてたら、背後からポンと肩を叩かれた。
ビクッとして、顔を上げて振り向いた。
孝義くんだった。
春秋くんが知らせたのだろう。
頬を蒸気させ、肩で息をしていた。
汗が玉になって、ポタポタと私に降ってきた。
「あ……」
言葉にならないけれど、何だか少しホッとした。
このヒトは、私に害をなさないヒト。
そんな認識が既に染み付いているのかもしれない。
「立てるか?」
そう聞かれて、うなずいたけれど、実際に立とうとしたら、足がガクガクして上手く立てなかった。
「そこのベンチまで運ぶ。」
そう言って、孝義くんは少し離れたバス停のベンチを指差すと、有無をいわさず私を抱き上げた。
前にもこんな風に運ばれたけど、あの時より、孝義くんは丁寧に扱ってくれてる気がした。
「春秋。」
孝義くんは、私をベンチに下ろすと、距離をとってついてきた春秋くんを手招きした。
私の反応を気にしながら恐る恐る近づいてきた春秋くんの肩を孝義くんが掴む。
「ぐぶっ」
と変な声を出して春秋くんはうずくまった。
……孝義くんが、春秋くんの腹部を殴ったらしい。
「暴力反対……」
涙目でそう言った春秋くんに、孝義くんは低い声で言った。
「二度と、こいつを怖がらすな。」
それから、なぜか合掌した。
「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」
……ルパン三世の五右衛門が「またつまらぬものを斬ってしまった」ってゆーのと同じ感覚なのかしら?
何だか呆気にとられて、笑ってしまった。
春秋(はるあき)くんは、私のトラウマを情報として聞いていたけれど、直面したことはなかったので軽率な行動をとったのだろう。
孝義(たかよし)くんの素早い対応と報復は、私をすぐに落ち着かせた。
私は、自分の闇の深さを再確認したと同時に、孝義くんへの信頼を深めた。
依存心にも似た安心感すら覚えた。
春秋くんがスマホを取り出してそう言ったけど、私は首を横に振った。
「いい。しばらくしたら落ち着くから。……春秋くん、帰って。」
「あほな!そんな状態の希和子ちゃんをほっとけるけないやん。」
「じゃあ、ちょっとあっち行って!今は無理!怖いねん!近づかんといて!」
思ったより大きな声でそうわめいてしまった。
春秋くんは絶句してしまった。
……傷つけた。
ごめん。
私は震える身体を両手で抱きしめて、うずくまった。
春秋くんは何も言わずに少し離れたところで待っているつもりらしい。
けっこうなプレッシャーを感じる。
顔も見たくない、とは思わない。
でも、今は恐怖心がどうしても消えてくれない。
しばらくじっとしてたら、背後からポンと肩を叩かれた。
ビクッとして、顔を上げて振り向いた。
孝義くんだった。
春秋くんが知らせたのだろう。
頬を蒸気させ、肩で息をしていた。
汗が玉になって、ポタポタと私に降ってきた。
「あ……」
言葉にならないけれど、何だか少しホッとした。
このヒトは、私に害をなさないヒト。
そんな認識が既に染み付いているのかもしれない。
「立てるか?」
そう聞かれて、うなずいたけれど、実際に立とうとしたら、足がガクガクして上手く立てなかった。
「そこのベンチまで運ぶ。」
そう言って、孝義くんは少し離れたバス停のベンチを指差すと、有無をいわさず私を抱き上げた。
前にもこんな風に運ばれたけど、あの時より、孝義くんは丁寧に扱ってくれてる気がした。
「春秋。」
孝義くんは、私をベンチに下ろすと、距離をとってついてきた春秋くんを手招きした。
私の反応を気にしながら恐る恐る近づいてきた春秋くんの肩を孝義くんが掴む。
「ぐぶっ」
と変な声を出して春秋くんはうずくまった。
……孝義くんが、春秋くんの腹部を殴ったらしい。
「暴力反対……」
涙目でそう言った春秋くんに、孝義くんは低い声で言った。
「二度と、こいつを怖がらすな。」
それから、なぜか合掌した。
「南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏」
……ルパン三世の五右衛門が「またつまらぬものを斬ってしまった」ってゆーのと同じ感覚なのかしら?
何だか呆気にとられて、笑ってしまった。
春秋(はるあき)くんは、私のトラウマを情報として聞いていたけれど、直面したことはなかったので軽率な行動をとったのだろう。
孝義(たかよし)くんの素早い対応と報復は、私をすぐに落ち着かせた。
私は、自分の闇の深さを再確認したと同時に、孝義くんへの信頼を深めた。
依存心にも似た安心感すら覚えた。



