「え?祇園祭、行ったことないの?」
3回生の前期試験が終わると、いよいよ夏休みだ。
俺はこれまで以上に足繁く、児童養護施設を訪ねるようになった。
7月の4週目に入ると、ボランティアサークルはほぼ毎日いろんな施設を回るらしい。
……サークルに所属しているわけではないけれど、俺もついて回ることになるだろう。
本当はココに入り浸ってたい気分だけど。
「鉾建てと巡行は見学したことあるで。学校から。な~?」
ほぼ毎日プールに通ってるらしく既に真っ黒に日焼けした芦沢啓也くんが仲間に同意を求めた。
「うん。でも、みんなが行かはる宵山とか宵々山には行けへん。夜は門限があるし。」
5年生の牛山照美ちゃんがそう教えてくれた。
なるほど。
この施設では、小学生の門限は17時ということになっている。
宵山の歩行者天国は18時からだから、確かに無理なのか。
「私はママと何度か行ったことあるけど、人混みで迷子になって大変やってん。せやし、先生やボランティアさんに、連れてってほしいとはとても言えへんわ。管理しきれるはずがないもん。」
戸辺美幸ちゃんがそう言って、つつーっと俺に寄ってきた。
最近どうも、美幸ちゃんはスキンシップ過多だな。
俺だけじゃなく他の子に対してもベッタリくっついてく。
……淋しいのだろうか。
「そっかぁ。連れてってあげたいけど……そうやなあ。確かに俺1人では目が足りひんか。」
「えー。義人さん、どうせデートでしょ?」
美幸ちゃんは俺の肘をつついて、きゃらきゃら笑った。
否定できず、俺は笑顔で誤魔化した。
「祇園祭に一緒に行くと別れるってジンクスありますね。」
希和子ちゃんがぽつりとそう発言した。
「……あるね。でもそれ言ったら、嵐山や宝ヶ池のボートとか、USJとかディズニーランドとか……別れるジンクスだらけやけどな。」
そう答えると、希和子ちゃんはうなずいた。
「どこへ行っても行かなくても、別れる可能性が圧倒的に高いですよね、統計上は。」
まあ、そういうことだよな。
人生でただ一人の配偶者としかデートしたことがないヒトが、今の世の中にどれぐらいいるのだろうか。
「さよならだけが人生だ、って言葉もあるしね~。」
何の気なしにそう言ったら、4人とも黙ってしまった。
……えーと。
俺、もしかして、無神経だった?
この子達は、みんな、肉親と別れて養護施設にいるということに、もっと配慮すべきだったのか。
しまった。
3回生の前期試験が終わると、いよいよ夏休みだ。
俺はこれまで以上に足繁く、児童養護施設を訪ねるようになった。
7月の4週目に入ると、ボランティアサークルはほぼ毎日いろんな施設を回るらしい。
……サークルに所属しているわけではないけれど、俺もついて回ることになるだろう。
本当はココに入り浸ってたい気分だけど。
「鉾建てと巡行は見学したことあるで。学校から。な~?」
ほぼ毎日プールに通ってるらしく既に真っ黒に日焼けした芦沢啓也くんが仲間に同意を求めた。
「うん。でも、みんなが行かはる宵山とか宵々山には行けへん。夜は門限があるし。」
5年生の牛山照美ちゃんがそう教えてくれた。
なるほど。
この施設では、小学生の門限は17時ということになっている。
宵山の歩行者天国は18時からだから、確かに無理なのか。
「私はママと何度か行ったことあるけど、人混みで迷子になって大変やってん。せやし、先生やボランティアさんに、連れてってほしいとはとても言えへんわ。管理しきれるはずがないもん。」
戸辺美幸ちゃんがそう言って、つつーっと俺に寄ってきた。
最近どうも、美幸ちゃんはスキンシップ過多だな。
俺だけじゃなく他の子に対してもベッタリくっついてく。
……淋しいのだろうか。
「そっかぁ。連れてってあげたいけど……そうやなあ。確かに俺1人では目が足りひんか。」
「えー。義人さん、どうせデートでしょ?」
美幸ちゃんは俺の肘をつついて、きゃらきゃら笑った。
否定できず、俺は笑顔で誤魔化した。
「祇園祭に一緒に行くと別れるってジンクスありますね。」
希和子ちゃんがぽつりとそう発言した。
「……あるね。でもそれ言ったら、嵐山や宝ヶ池のボートとか、USJとかディズニーランドとか……別れるジンクスだらけやけどな。」
そう答えると、希和子ちゃんはうなずいた。
「どこへ行っても行かなくても、別れる可能性が圧倒的に高いですよね、統計上は。」
まあ、そういうことだよな。
人生でただ一人の配偶者としかデートしたことがないヒトが、今の世の中にどれぐらいいるのだろうか。
「さよならだけが人生だ、って言葉もあるしね~。」
何の気なしにそう言ったら、4人とも黙ってしまった。
……えーと。
俺、もしかして、無神経だった?
この子達は、みんな、肉親と別れて養護施設にいるということに、もっと配慮すべきだったのか。
しまった。



