「何ちゅう顔してるんや。」
放課後、転がってきたボールを追いかけてきた孝義(たかよし)くんが、私にそう言った。
「……変?」
自覚してなかったけど、指摘されたら想像はつく。
気を張ってないと涙が出てきそうなんだもん。
もうすぐいつものように義人氏がお迎えに来てくれる。
仕事中にわざわざ来なくていいのに……断れない。
スーツの義人氏はかっこいいけど、けっこうなハードワークなのか、原さんにしごかれてるのか、ぐったりしてることが多い。
なのに私の送迎が癒やしになると言い張って、実際に少し元気になってまた仕事に戻る毎日だけど……今日の私が、果たして義氏に元気を与えられるだろうか。
「ああ、変。理由は?春秋(はるあき)がゆーてた、派手な女?……そんなもん、今さらやと思うけど。あの人、今までになんぼでも、そーゆー人種とつきあってきてるやろ?」
孝義くんの言う通りだ。
頭ではわかってる。
でも、実際に見てしまったら、まるで映画のようにお似合いに思えて……。
「ゆーたらええやん。イヤやって。そんな女とつきあうな、って。お前がゆーたら、あっさり切るやろ。あの人。」
孝義くんはボールを本日のキーパー役に渡して、私の横に座った。
「まさか。……てか、私にそんなこと言う権利ないし。そもそも、義人氏が誰とつきあおうと関係ないし。」
そう嘯(うそぶ)いたら、孝義くんはマジマジと私を見た。
「……本気で言うてる?お前、阿呆か。」
阿呆ではないと思いたい。
でも孝義くんよりは阿呆かも。
返事できないでいると、孝義くんは軽く舌打ちした。
「舌打ちせんとってよ。」
「じゃあ、お前もぐじぐじ拗ねてんなよ。しょーもない。いつまでもガキちゃうねんから。つきあえばいいやん。誰に遠慮してんの?親御さん?」
は?
誰が誰とつきあうって?
何言ってるの?
「……意味、わかんない。」
てゆーか、わかりたくない。
認めたくない。
義人氏がイイヒトってことは知ってるけど……そーゆー対象としては見たくない。
ヒトとして信頼できるし、家族としてはすごく大切だけど、男としてはやっぱり無理。
考えたくもない。
何の罪悪感もなく、当たり前のように複数の女性とつきあう男なんか、絶対いや。
「そうけ?まあいいけど。」
孝義くんはそう言ってから、両肘を両太股に付けて前傾姿勢になった。
コツコツと、自分の額を拳で打って……意を決したように言った。
「じゃあ、俺にしとけば?」
放課後、転がってきたボールを追いかけてきた孝義(たかよし)くんが、私にそう言った。
「……変?」
自覚してなかったけど、指摘されたら想像はつく。
気を張ってないと涙が出てきそうなんだもん。
もうすぐいつものように義人氏がお迎えに来てくれる。
仕事中にわざわざ来なくていいのに……断れない。
スーツの義人氏はかっこいいけど、けっこうなハードワークなのか、原さんにしごかれてるのか、ぐったりしてることが多い。
なのに私の送迎が癒やしになると言い張って、実際に少し元気になってまた仕事に戻る毎日だけど……今日の私が、果たして義氏に元気を与えられるだろうか。
「ああ、変。理由は?春秋(はるあき)がゆーてた、派手な女?……そんなもん、今さらやと思うけど。あの人、今までになんぼでも、そーゆー人種とつきあってきてるやろ?」
孝義くんの言う通りだ。
頭ではわかってる。
でも、実際に見てしまったら、まるで映画のようにお似合いに思えて……。
「ゆーたらええやん。イヤやって。そんな女とつきあうな、って。お前がゆーたら、あっさり切るやろ。あの人。」
孝義くんはボールを本日のキーパー役に渡して、私の横に座った。
「まさか。……てか、私にそんなこと言う権利ないし。そもそも、義人氏が誰とつきあおうと関係ないし。」
そう嘯(うそぶ)いたら、孝義くんはマジマジと私を見た。
「……本気で言うてる?お前、阿呆か。」
阿呆ではないと思いたい。
でも孝義くんよりは阿呆かも。
返事できないでいると、孝義くんは軽く舌打ちした。
「舌打ちせんとってよ。」
「じゃあ、お前もぐじぐじ拗ねてんなよ。しょーもない。いつまでもガキちゃうねんから。つきあえばいいやん。誰に遠慮してんの?親御さん?」
は?
誰が誰とつきあうって?
何言ってるの?
「……意味、わかんない。」
てゆーか、わかりたくない。
認めたくない。
義人氏がイイヒトってことは知ってるけど……そーゆー対象としては見たくない。
ヒトとして信頼できるし、家族としてはすごく大切だけど、男としてはやっぱり無理。
考えたくもない。
何の罪悪感もなく、当たり前のように複数の女性とつきあう男なんか、絶対いや。
「そうけ?まあいいけど。」
孝義くんはそう言ってから、両肘を両太股に付けて前傾姿勢になった。
コツコツと、自分の額を拳で打って……意を決したように言った。
「じゃあ、俺にしとけば?」



