結婚。
その2文字が脳裏に点灯すると、胃のあたりに消化できない冷たく重い塊を感じた。
俺はまだ21歳だ。
大学3回生だ。
……まあ、同い年で同じゼミの小門は既に連れ子付きの結婚をしてるけど、そんなの、ものすごく稀有な例だろう。
かくいう俺も、18歳の時には本気で結婚したいと思ったりしたけれど、それは結婚に憧れたのではなく、愛した女性をつなぎ止める手段が妊娠と結婚だと誤解しただけ。
何もかも失った俺は、3年たってもまだ抜け殻のように、ただ生きている。
そんな俺が、今、れいに何を言える?
れいが欲しい約束なんか、できるわけがない。
空っぽな俺には、何の責任もとれない。
それに、無責任なことは言いたくない。
「ボランティア先の小学生に聞かれてん。セフレと、たくさんいる彼女のうちの1人と、どう違うんか、って。」
れいが、また新しい煙草に手を伸ばした。
「小学生が?生意気。……何て答えたの?」
「答えてへんわ。小学生に話す内容ちゃうやろ。でも、修学旅行で隣のクラスまで巻き込んで討論してんて。」
ぷっと、れいが吹き出して笑った。
「何?それ。まさか、義人、小学生にまで手ぇ出してるの?」
……笑えない。
「いや。……でも、最低って言われて、落ち込んでる。」
「ま。いいんじゃない?オトナになればわかるわよ。イイ男はたいてい悪いヒトだって。」
れいはそう言って、また煙草に火をつける。
「俺、悪いヒト?」
少なからずショックを受けて、俺はれいの顔を覗き込んだ。
れいは顔を背けて、俺にかからないように煙をはいた。
「どうかな。義人は、色恋抜きなら、イイヒト。でも、本気で好きになったら、つらい。一緒にいる時は百点満点の恋人なのに、一歩離れたらもう他の女を連れてるイメージ。独占できない男は、やっぱりきついわ。」
本音だな。
まあ、確かにそうだろう。
わかるよ。
俺だって、ずっとこのままでいたいわけじゃない。
本当は、独占されたいと願っている。
他のどんな女も目に入らないぐらい、1人の女性を好きになりたいんだ。
でも、そんな一途な想いを迷惑がられた過去から、まだ立ち直れない。
あのヒトを忘れることはできない。
でも、それ以上に好きになれるヒトを渇望している。
俺だって、独占したいんだ。
「独占できる男、見つけたんやったら、れいも、独占されたほうが幸せやと思うで?」
真面目にそう言ったら、れいは煙草をもみ消してから立ち上がった。
怒らせたかな。
「帰るん?」
そう聞くと、れいは俺を見下ろして睨んだ。
「シャワー浴びてくる。ムカつくから、帰らない。独占したくなる男が他にできるまで、別れてあげない。」
「……いや、別に、今、れいと別れたいとは思ってへんし……伝わらへんかもしれへんけど、俺、れいのこと、好きやで?」
嘘じゃない。
真剣にそう言ったら、れいは泣きそうな顔をした。
その2文字が脳裏に点灯すると、胃のあたりに消化できない冷たく重い塊を感じた。
俺はまだ21歳だ。
大学3回生だ。
……まあ、同い年で同じゼミの小門は既に連れ子付きの結婚をしてるけど、そんなの、ものすごく稀有な例だろう。
かくいう俺も、18歳の時には本気で結婚したいと思ったりしたけれど、それは結婚に憧れたのではなく、愛した女性をつなぎ止める手段が妊娠と結婚だと誤解しただけ。
何もかも失った俺は、3年たってもまだ抜け殻のように、ただ生きている。
そんな俺が、今、れいに何を言える?
れいが欲しい約束なんか、できるわけがない。
空っぽな俺には、何の責任もとれない。
それに、無責任なことは言いたくない。
「ボランティア先の小学生に聞かれてん。セフレと、たくさんいる彼女のうちの1人と、どう違うんか、って。」
れいが、また新しい煙草に手を伸ばした。
「小学生が?生意気。……何て答えたの?」
「答えてへんわ。小学生に話す内容ちゃうやろ。でも、修学旅行で隣のクラスまで巻き込んで討論してんて。」
ぷっと、れいが吹き出して笑った。
「何?それ。まさか、義人、小学生にまで手ぇ出してるの?」
……笑えない。
「いや。……でも、最低って言われて、落ち込んでる。」
「ま。いいんじゃない?オトナになればわかるわよ。イイ男はたいてい悪いヒトだって。」
れいはそう言って、また煙草に火をつける。
「俺、悪いヒト?」
少なからずショックを受けて、俺はれいの顔を覗き込んだ。
れいは顔を背けて、俺にかからないように煙をはいた。
「どうかな。義人は、色恋抜きなら、イイヒト。でも、本気で好きになったら、つらい。一緒にいる時は百点満点の恋人なのに、一歩離れたらもう他の女を連れてるイメージ。独占できない男は、やっぱりきついわ。」
本音だな。
まあ、確かにそうだろう。
わかるよ。
俺だって、ずっとこのままでいたいわけじゃない。
本当は、独占されたいと願っている。
他のどんな女も目に入らないぐらい、1人の女性を好きになりたいんだ。
でも、そんな一途な想いを迷惑がられた過去から、まだ立ち直れない。
あのヒトを忘れることはできない。
でも、それ以上に好きになれるヒトを渇望している。
俺だって、独占したいんだ。
「独占できる男、見つけたんやったら、れいも、独占されたほうが幸せやと思うで?」
真面目にそう言ったら、れいは煙草をもみ消してから立ち上がった。
怒らせたかな。
「帰るん?」
そう聞くと、れいは俺を見下ろして睨んだ。
「シャワー浴びてくる。ムカつくから、帰らない。独占したくなる男が他にできるまで、別れてあげない。」
「……いや、別に、今、れいと別れたいとは思ってへんし……伝わらへんかもしれへんけど、俺、れいのこと、好きやで?」
嘘じゃない。
真剣にそう言ったら、れいは泣きそうな顔をした。



