「どういたしまして。でも、これで終わりちゃうで。希和、英語、今までに全然習ってへんやろ?」
英語?
「中学から習うもんじゃないんですか?」
驚いてそう聞くと、義人氏が苦笑した。
「うん。俺もそれで苦労した。小学校から英語あるねん、あそこ。せやし、これからは、英語の家庭教師や。」
えーっと……。
まあ、いいか。
「よろしく、お願いします。」
イロイロ思うところはある。
けど、義人氏が、けっこう無理やりな理由をつけても積極的に私に関わろとしてくれてることがうれしかった。
「ああ。まあでも、今までよりは、ゆるーくな。希和、やっと読書に没頭できるんやし。いっぱい読みたい本あるやろ。とりあえず、受験終わったし、本屋行くで。」
そう言って、義人氏は京都で一番大きな本屋さんに連れてってくれた。
「好きな本、選び。何冊でもいいで。本屋ごとは無理でも棚ごとぐらいなら全然OKや。」
棚ごと!?
私は喜びにうち震えた。
「まさか、それを選ぶとは思わんかったわ。」
2時間後。
義人氏の広い車内は本の箱で埋め尽くされた。
「お兄さんも。意外でした。いつも新しい本を大人買いしてるの?内容とか見てないみたいやけど、当たりハズレありそう。」
義人氏は、平積みされた新刊本を手当たり次第レジかごに放り込んだのだ。
「あー。ほとんどハズレや。正直、本が売れへんくなったんは、レベルが低いからやと思う。もちろん読むほうのレベルが低下してるからそれに合わせてる部分もあるやろけど。小説もなぁ。お、いいやん!って思ったやつは、しばらくすると、ドラマや映画になって、ガッカリすること多いわ。」
義人氏はそう言って、人気作家の見るからに駄作新書を見せて肩をすくめた。
「お兄さん、テレビも本も、内容を楽しむためじゃなくて、中身を把握して知識や会話のネタにするために目を通してるって感じですね。」
なんだか、つまんなさそう。
「うん。そんな感じ。せやし、希和みたいに、目ぇ輝かして本を手にとってるん見ると、うらやましいわ。俺もそんな風に楽しみたい。……そやけど、最初にそれを指定したんにはびっくりしたわ。欲しかったん?」
私は大きくうなずいた。
ずっと欲しかったのは、辞典。
諸橋轍次の『大漢和辭典』全15巻だ。
「お父さんの書斎にもなかったから。」
もちろん、漢和辞典は幾種類かあった。
でも、この大修館書店出版の大漢和15冊が欲しかったのだ。
英語?
「中学から習うもんじゃないんですか?」
驚いてそう聞くと、義人氏が苦笑した。
「うん。俺もそれで苦労した。小学校から英語あるねん、あそこ。せやし、これからは、英語の家庭教師や。」
えーっと……。
まあ、いいか。
「よろしく、お願いします。」
イロイロ思うところはある。
けど、義人氏が、けっこう無理やりな理由をつけても積極的に私に関わろとしてくれてることがうれしかった。
「ああ。まあでも、今までよりは、ゆるーくな。希和、やっと読書に没頭できるんやし。いっぱい読みたい本あるやろ。とりあえず、受験終わったし、本屋行くで。」
そう言って、義人氏は京都で一番大きな本屋さんに連れてってくれた。
「好きな本、選び。何冊でもいいで。本屋ごとは無理でも棚ごとぐらいなら全然OKや。」
棚ごと!?
私は喜びにうち震えた。
「まさか、それを選ぶとは思わんかったわ。」
2時間後。
義人氏の広い車内は本の箱で埋め尽くされた。
「お兄さんも。意外でした。いつも新しい本を大人買いしてるの?内容とか見てないみたいやけど、当たりハズレありそう。」
義人氏は、平積みされた新刊本を手当たり次第レジかごに放り込んだのだ。
「あー。ほとんどハズレや。正直、本が売れへんくなったんは、レベルが低いからやと思う。もちろん読むほうのレベルが低下してるからそれに合わせてる部分もあるやろけど。小説もなぁ。お、いいやん!って思ったやつは、しばらくすると、ドラマや映画になって、ガッカリすること多いわ。」
義人氏はそう言って、人気作家の見るからに駄作新書を見せて肩をすくめた。
「お兄さん、テレビも本も、内容を楽しむためじゃなくて、中身を把握して知識や会話のネタにするために目を通してるって感じですね。」
なんだか、つまんなさそう。
「うん。そんな感じ。せやし、希和みたいに、目ぇ輝かして本を手にとってるん見ると、うらやましいわ。俺もそんな風に楽しみたい。……そやけど、最初にそれを指定したんにはびっくりしたわ。欲しかったん?」
私は大きくうなずいた。
ずっと欲しかったのは、辞典。
諸橋轍次の『大漢和辭典』全15巻だ。
「お父さんの書斎にもなかったから。」
もちろん、漢和辞典は幾種類かあった。
でも、この大修館書店出版の大漢和15冊が欲しかったのだ。



