夢が醒めなくて

2日と3日は結局、ずーっと家でお客さまをお迎えした。
お母さんと私は、ご挨拶だけで下がらせてもらえたけれど、お父さんと義人氏は朝から晩までお客さまの相手をしてらした。

もらったお年玉の額は30万円を超え、それ以外にも、お菓子やおもちゃを山のようにいただいてしまった。
お父さんからいただいたお年玉だけはいただいて、あとはお母さんに全額渡そうとしたけれど、受け取ってもらえなかった。

「ご苦労さん。疲れたやろ。今日と明日は算数だけにしとこうな。」
……かなり酔っていても、義人氏は受験勉強をみてくれた。




6年生の3学期が始まった。
車で送ってくれた義人氏を、担任の先生が引き留めた。

昨秋、出品した感想文は全国コンクールで主立った賞には入らず入選に終わったそうだ。
「希和子ちゃん、地区の表彰式にも府の表彰式にも行かなかったから、せめて今日の始業式で校長先生から表彰していただきます。お兄さん、参列なさいますか?」

……だって、どっちの表彰式も平日だったんだもん。
何で小学生の表彰式を、授業のある日にやるんだろう。
意味わかんない。

私がムスッとしてると、義人氏がにこやかに言った。
「ありがとうございます。ではお言葉に甘えて。これからじゃ両親は間に合わないので、撮影させていただいてもよろしいですか?あとで、両親に見せたいと思います。」

担任の先生はちょっと返答に困ってらしたけど
「目立たないように、後ろで拝見します。」
と義人氏が言うと、渋々うなずいた。


一旦、義人氏と別れて教室に入る。
冬休みの宿題を提出してから、みんなで体育館へと移動した。

義人氏は確かに最後列にいたけれど、目立たないわけがなかった。
季節はずれの教育実習生か、若い代休講師かと、特に女子児童が色めき立って騒いでいた。

始業式が始まる。
退屈な校長先生のお話に続いて、私の読書感想文が地区と府で最優秀賞をもらい、全国コンクールで入選した、と紹介された。

単に賞状をもらうだけだと思ったら、全校児童の前で感想文を読まされた。
……義人氏は何故かハンディカムで撮影していた。

撮影って、携帯で写真を撮るだけじゃなかったんだ。
驚いた。
そして、無駄に緊張させられた。


放課後、義人さんを待ってると、啓也くんが来た。
「美幸ちゃん、デビュー決まったって。5月にCD発売やて。」
「すごーい!CD買って応援しよう!」

はしゃぐ私と対照的に、啓也くんは暗かった。