一瞬、音が何もかも消えたような気がした。

さっきまで耳元に吹奏楽の演奏が流れていたはずなのに。

頭をあげられないまま、ずっとそうしていた。

すると、頭上から降ってきた誠の声。


「宮内さん、ありがと。
返事は、分かってたんだけど、

やっぱりちょっときついんだな」


笑いながら言う誠の顔を下から友香はうかがった。


すがすがしい。


そんな顔だった。


「宮内さんはさ、昇が、好きなんだよね?」


驚いたが、友香は素直に頷いた。
顔が赤くなった気がする。


「宮内さんも、がんばってよ。

俺、応援してるし」


少し震えたような誠の声を聞いて、友香はぎゅっと自分の手を握った。


「有川くん、ありがとう」