友香と誠はなるべく人目につかないようにと、体育館の裏まで移動することにした。

もう、1日目の文化祭は終わるため、人も少なくなってきていたのだが、それでも念には念を、と。

歩くたびに、その足取りが重くなるようだった。

ちゃんと誰もいないことを確認して、2人は立ち止まる。

お互い何も言わずに向き合ったまま、止まっていた。
沈黙が流れる。


その空気に耐えきれなくなった友香が、意を決したように息を吸い込む。


「あのっ」


そこまで言ってはみたものの、その先が続かない。

友香はどうしよう、と顔をしかめた。

察したように誠は口を開く。


「俺、大丈夫だからさ、…分かってるし」


体育館からは明日のための練習なのか、吹奏楽の演奏が聞こえてきた。

誠に言われて、誠の顔を見る。

やっぱりちゃんと言わなくちゃだめだ、

と、もう一度息を吸い込んで友香は頭をさげた。







「ごめんなさい」