拍手が止むと同時くらいに、誠にそう言われ、
何も言えずに誠に視線を戻す。

すると誠は諦めたような笑みを浮かべ、


「俺はもう、振られてるんだから、俺に気ぃ遣ったりしなくていいんだよ」


と言った。

それでも何も返事をせずに表情を歪めると、
誠はまた笑って話しだした。


「俺、ほんとは1年のときから…


宮内さんのこと好きだったんだよ」



驚いて昇は誠の顔を見た。

初めて聞く話に罪悪感もうまれる。


また誠は照れたように笑い、ステージに目をやったまま話を続ける。


「…それで、宮内さんも昇のこと好きみたいでさ…

俺、ずっと好きだったから、


…悔しかったんだ」


言って、誠は天井を仰いだ。


ステージ上では、合唱部の部長が歌の説明をしているところだった。


「…今思えば、
そんな馬鹿な理由で…


悪かったと思ってる…」



一旦言葉をきり、
誠はステージに目を向けた。


「…そろそろ始まるな」


誠の言ったとおり、
指揮者が指揮を振りはじめた。