明日は、何もしなくていいのか。
そういえば、
友香が明日は合唱の発表があると言っていた。
そんなことを思いながら、昇は帰る準備をする。
片付けながら、
今日は誠の姿を見ていないことを思い出す。
頭の中に、誠が友香に告白したときのことが浮かんだ。
告白の返事は文化祭のときに。
そう誠は言っていた。
気持ちが落ち込むのを感じたが、
荷物を詰め終わったので、
そのカバンを肩にかけ教室をあとにした。
廊下を歩いていると、
ほかのクラスでも片付けをしているところが多く、
混雑していて歩きにくい。
片付けをしている人を避けながら歩くが、
それでも時々ぶつかってしまう。
そのたびに「悪い」と謝った。
けだるさを感じながらも、
ようやくその廊下を抜け出して階段を降りようとしたとき、
目の端に誠が見えた気がした。
そのほうに視線をやると、そこには友香の姿もある。
先程思い浮べた情景がまた頭のなかに浮かんできたが、
気にしない素振りをして階段に足をかける。
誠が、一瞬こちらを見た気がした。
体が重くなったように感じたが、今日1日働いて疲れたのだろう。
階段を降りる足取りは重かった。


