「あっ、やっぱり来てくれたんだ。
笹木くんて怖そうって女子の間じゃ噂されてるんだよ。知ってた?」
昇が屋上に行ったときには、すでに友香は来ていた。
また、例によって昇降口の上に。
そして出し抜けにおかしなことを言ってくる。
「知らねーよ、そんなこと」
「でも噂は噂だったみたい。ちゃんと来てくれてるし」
昨日も思ったが友香はどうやら1人で話をする傾向があるようだ。
喋るのが好きなのか?
「で、何?」
昇が聞く。
「下の名前で呼んでいい?」
「…は?まさか、それだけ…」
友香はおかしなことばかり言ってくる。
一体何が言いたいんだろうか。
「だーかーらっ、呼んでもいい?」
「別に…」
「じゃあ、昇くん」
友香は了解を得るとすぐに昇の名前を呼ぶ。
「くん」と付けられて、昇はなんだかくすぐったいような感じがした。
「くん、ってつけるのやめろ」
そう言って、昨日と同じ場所に移動する。
「あっまた登ってこないんだー」
友香も昨日と同じように、下に座り込む昇の隣に降りてきた。
座り込む友香に次のおかしな言葉を言わせないために、
昇はすぐに言葉を発す。
「で、何?」


