次の日、学校に行かないと母親が心配するから行きたくなくても、
また学校に行かなくてはならなかった。

下駄箱のところでため息をついているとポンと肩を叩かれた。

「おはよ、笹木くん」

友香だった。

「……」

また何も言わずに黙っていると、

「もしかしてまた私の名前忘れた?宮内、友香」

「…おはよ」

正直昨日のこともあったし、偶然昨日話しただけだし、
もう話すことはないと思っていたのだ。

「笹木くん?どうかした?」

「いや、別に」

と、そこで友香は声をひそめる。

「今日も屋上行く?私笹木くんともう少し話したいな」

「は?」

思いがけない友香の言葉に、昇は驚く。

「とりあえず今日体育あるし、その時間とかどう?」

友香が何を考えているのか全くわからなかった。

しかし有無を言わせずに、

「じゃあ、体育の時間にね」

と友香はその場を去っていく。

約束に対して自分は「行く」と言っていないのだから、行かなくてもいいのだ。

そう頭では思っていても、なんとなく、昇もまた友香と話がしてみたかった。