友香はクラスの準備ももちろんあったが、部活の練習を先に優先させた。

初めてまかされたソロの練習をもっとしたかった。

それともうひとつ、誠の告白に、明日返事をしなければならない。

だから、なるべく今日だけは誠に会いたくなかった。

返事のことを考え、はぁっとため息をつくと、
頭の上でぱこっと音がして、少しの刺激が起こる。

「こーら、宮内。何ため息ついてるの?」

部長が紙を棒状に丸めてそばに立っていた。

どうやらその丸めた紙で頭を軽く叩かれたらしい。

「部長…」

「緊張してるとか?
本番は明後日なんだから今から緊張してたらもたないよ?」

「すみません、練習します!」

今は誠のことよりもソロのことを考えておかなければ。

初めてもらったソロだし、
部長達3年生はこれで引退だし、
しっかりしなきゃ!

と、友香はまた楽譜にむかって歌の練習をはじめた。