文化祭がいよいよ明日となり、
今日は1日文化祭のために時間が使われる。

昇は教室で喫茶店の飾り付けをさせられていた。


それはもちろん、恵利子の命令で。



「笹木くんいっつもさぼってるんだから、今日くらいは働いてよね」

やっぱり、この女は苦手だ、
と再認識しつつも、昇はおとなしく言うことを聞き働いた。

ほかにもさぼる奴ならいくらでもいるのに、なんで俺が…

そう思ったが、言えるはずもなく、黙々と仕事を続ける。

恵利子のまわりには女子が群がっていたが、
そこに友香の姿はなく、しかし教室内に誠の姿はあった。

誠は相変わらず無視していたが、それにももう慣れてしまった。

ぼぉっとしながら作業を進めていると、突然恵利子の声が耳に大音量で響く。

「ちょっと笹木くん!聞いてるの?」

「え?」

「その飾り、もう少し右にしてって言ってたんだけど、聞いてなかったの?」

恵利子はそこでため息をつく。


やっぱりこの女、苦手…


短時間のうちに、2度も昇はそう認識した。