教室に入ってすぐに女子に囲まれた友香の姿が目に入る。

そしてその様子を遠巻きに気にしている誠の姿。

ここまでは普通だったのだ。

違ったのは次のひとこと。



「ねぇ笹木くん、友香のこと好きなの?」



急にかけられた言葉は、三田恵利子によって言われたものだった。

驚き友香のほうに視線を移すと、友香も友香で驚いていた。


…いきなり何だよ。


そう思ったが、恵利子の言葉に、ほかの女子たちも返事を急かしだす。

誠の視線も気になった。

「…別に」

そう返事をぼかすと、女子たちは少し不満の声を漏らした。

誠の視線はもう感じなかったが、冴えない顔をしていた。

友香のほうは少し表情が消えていた。