それからまたグラウンドの掃除をしていたのだが、
それは思ったよりも長引いてしまった。
道具を片付けて教室に戻り、カバンをつかむ。
そして玄関で靴をはいていると、また呼び声がかかった。
「昇っ!ちょっと待って!」
慌てながら友香が小走りににやってくる。
部活が今終わった頃なのだろう。
「あのね…」
と、友香が言いかけた瞬間
「あれ、宮内?」
合唱部の部長だった。
「えっ、あ、先輩」
部長は昇のほうをチラッと見た。
「宮内もやるじゃん!」
「は?」
「彼氏でしょ?」
この言葉には、さすがに昇も驚いたが何も言わなかった。
「え、や、あの…」
しどろもどろになりながら友香が言葉を発したが、
「邪魔したら悪いし、先に帰るね。じゃねー」
と部長は帰っていってしまった。
また友香と2人になり、しばしの間沈黙が流れる。
「あの…合唱部の子たち、
ここにいるとまた来ると思うんだけど…
歩きながら聞いてもらっていい?」
確かにさっきのようなことが続けてあるのは好ましくなかった。
「…うん、わかった」


