今日もまた昇は遅刻してきた。
そんな昇の姿を見ながら友香はため息をつく。
文化祭の話し合いが終わった頃、
突然肩を叩かれ友香は驚いた。
後ろを振り向くと
「宮内さん、ウェイトレスとかしたら?似合うと思うよ」
と誠が話し掛けてきた。
確か、昇と仲いい人だと思いながら、友香は返事をする。
「そうかなぁ?でも私、できれば裏方希望だから」
と、話していると昇が前のほうに行くのが見えた。
ついそっちに視線を向けると誠が言う。
「気になる?」
「え?な、何が?」
「んーん、別に…」
昇は進路希望のプリントを出しているようだ。
プリント、書いたんだ。
なんて書いたんだろう?
昨日のバイトのこともあったし、気になった友香は1時間目が自習だったので、
昇のもとに向かった。
なんと呼び掛けようかと悩んだすえに
「ねぇ、笹木くん」
と呼び掛ける。
「…何?」
「今日の昼休み暇?」
話したい。
「…暇じゃない」
「そっか」
断られるだろうなとは思ってたけど、やっぱりショックだ。
きっと今、悲しい顔をしているだろうと思った友香はすぐに自分の席に戻る。
すると、また誠が声をかけてきた。
「昇に何か用あったの?」
「…うん、ちょっとね」
「俺が聞いてあげようか?」
誠の問い掛けに一瞬考えて、友香は答える。
「のぼ…笹木くんバイトしてるの?」
「バイト?してないと思うけど」
それを聞いて友香は言ってはいけなかったかと、口をつぐむ。
「それがどうかした?」
「なんでもない。ありがとう」


