ある日、昇は学校には来たものの、授業には出る気にならなくて、
屋上でサボることにした。
さすがに授業中、屋上には誰もいない。
そう思っていたのだが、突然上のほうから声がかかる。
「あー、笹木くんだ」
驚いて、昇はその声がしたほうを向いた。
そこには顔だけは見たことがある女がいた。
昇降口の上に寝そべっているようだ。
「…誰?」
「あー、ひどい!同じクラスなのに。宮内友香(みやうち ともか)。忘れたの?」
「話したことないし」
それだけ言って昇は屋上から立ち去ろうとする。
「あー、待って。
ここ登ってきなよ。
今日は日も照ってるから気持ちいいよ?」
確かに、今おりていけば先生に見つかる可能性は高くなる。
そう考え、昇はしかたなく扉があるほうとは反対側の壁にもたれ、座り込む。
「ここのほうが先生にばれないのに」
あいかわらず友香は話し掛けてくるがそれを無視していると、
昇の隣におりてきた。


