部活が終わり、家に向かう友香の足取りは軽かった。

任されたソロの部分のメロディを口ずさむ。

ちょっとコンビニにでも立ち寄ろうと向きを変えると、
そこには泥まみれになった昇の姿があった。

道路工事を手伝っているようだった。

「昇、バイトしてたんだ…」

汗を流し頑張っている昇の姿を見て、友香はなんだか胸が熱くなるのを感じた。

前に昇が言っていたことを思い出す。


「夢なんてみるだけ虚しいじゃん」


昇は何のために頑張ってるの?

夢のため?

それとも夢なんて虚しいっていうのが本音なの?

友香は、昇にばれないようにと急いでその場を離れた。