向き合ったまま、しばらく笑い、友香はタイミングを見計らって言う。


「これ、成績表…」


おずおずと昇のほうにそれを差し出した。


「見ていいの?」


声には出さずに縦に首を振り、そのまま自分の膝部分に視線を落とした。

カサ、と紙を開く音がして、不安そうに友香は昇の表情を上目使いにうかがう。


「昇?」


いつまで経っても何も言わない昇を呼び掛けると、昇は笑顔を見せた。


「成績、あがってるじゃん。
よかったな、宮内がんばってたし」

「うん」


友香も笑って頷き返す。


「昇のおかげだよ。
“諦めるな”って言ってくれたから、私がんばれたの」

「そっか」

照れたように顔を下に向けた昇を見て、また友香は笑みをこぼした。

そして、友香にはもうひとつ昇に言いたいことがあった。

だが、こちらはなかなか言いだすことができず、友香はしばし固まる。