教室で誠と別れてから、昇は走った。

走って、走って、昇は階段をのぼってゆく。

寒いはずの気温も、走ったせいで体にはうっすら汗をかいていた。

あと、十数段、というところまできて、足を止めた。

息を整えて、そこからは1歩1歩ゆっくりと足をかけていった。

ギィッ、と重たそうな音をたてて扉を開けると、
そこには誰もおらず、空だけが広がっていた。


だが、



「昇?」


あの日と同じように、友香は昇降口の上から顔をのぞかせていた。