荒谷の話も終わり、みんなががやがやと騒ぎだしたので、
昇もカバンを持って屋上に行こうと立ち上がった。

だが、背中にずしりと重みを感じ、机に倒れこみそうになる。

背中には、顔を明るくさせた誠がくっついていた。


「何?
どうしたの?」

驚いて聞くと、誠は口元を緩ませ、成績表を昇の顔の前につきだした。


「成績、あがってたんだよ!」


嬉しそうに話す誠に、

「よかったな」

と言うと、誠は軽く頷いた。


「…宮内は、どうだった?」

控えめに小さく聞くと、


「聞いたんだけど、教えてくれなかったんだよ。
…だめ、だったのかな?」

言いながら誠が友香の席のほうを振り向くと、
そこに友香の姿はもうなくなっていた。


「あれ…どこいったんだろ。
もう帰ったのかな」

「誠、悪い。
俺、今から行くとこあるんだ」


誠の背中にそう言うと、誠は何かを察したように、

「わかった、行ってこいよ」

と昇に笑顔を向けた。