学校をあとにする昇の姿をガラスごしに見つめる者の姿があった。

友香だ。

「…またすぐに帰っちゃうのかな」

友香がぽつんとつぶやく。

「友香ー、どうしたの?練習はじめるよ」

「あっ、はいっ」

友香は合唱部に所属している。

少しでも自分の夢に近づくために。

本当は軽音部に入りたかったのだが、
あいにくこの学校にはそういった部活がなかった。

帰っていく昇のことを気にしながらも、友香は練習を始めた。