テストが始まる前は、不安と緊張が入り交じる。

始まってしまえばそうでもないのに、
それまでは、何度テストを経験しても同じような気持ちになる。

それに、最初のテストを受けてしまえば、あとのテストは嘘のようにあっという間に終わってしまうのだ。

配られた解答用紙を眺めながら、昇は窓の外に視線を外した。

先生の「始め」という声を聞き、教室内にはいっせいにかりかりという音が鳴りだした。

昇もシャーペンを手に持ち、テスト問題に目を通してゆく。

ふと、友香に視線を向けると、一生懸命にペンを動かす姿が目に映った。


宮内なら大丈夫だよ。

がんばれ。


心のなかでそうつぶやいて、またテストに意識を戻した。