まだあると思っていた時間はあっという間に過ぎ去ってゆき、
テストの日は瞬く間にやってきた。


「なぁ昇…
やっぱ俺だめかも…
解ける…気がしない…」


教科書を片手に半泣きの誠。


「はぁ?
誠この前できそうって言ってたじゃん」

「あのときはあのとき、今日は今日…」


がっくりとうなだれる誠は、ため息とともに教科書を投げ出した。


「俺、もう諦めた…」


またいつもと同じかぁ…、なんてこぼしながら誠は口をすぼめる。


「そんな…簡単に諦める、とか言うなよ。
まだ今日初日だし、なんとかなるって」


そう誠に言葉をかけると、誠はうめき声を出しながらも、

「そうだよなぁ…
宮内さんもがんばってるみたいだし…」

と口ごもった。

投げ出した教科書を再び手に持ち直し、教科書とにらめっこを始める。

昇も、そんな誠に励ましの言葉をかけながら教科書に目を通した。

友香のほうをちらりと見ると、友香も必死に追込みをしているようだ。

しばらくしてから、休み時間の終わりを告げるチャイムが静かに鳴った。