そうして誠に教えていると、友香と恵利子がこちらを見ていることに気が付いた。


「昇って勉強得意なんだね」

「いっつもサボったり遅刻してるのになんで?」


友香も恵利子も驚いたように言った。


「別に…家ですることないから」

そう言うと「へー」と恵利子が納得したような顔になる。


「そういえばさ、なんで急に勉強なんて始めたの?」


会話に参加していなかった誠が、友香に問う。

恵利子も、何も言いはしなかったが、友香の横顔をうかがうように見ていた。


「えっと、ね…」

悩むように言い淀み、友香はこちらに視線を向けた。

助け船をだすことができずに顔を歪めると、友香は少しだけ悩んで口を開いた。


「親を、見返したくて。
いい点とったら、考え直してくれることがあるんだ」


そこまで言って、友香はにこりと笑い、昇とアイコンタクトをした。


「昇、何か知ってるんだろ?
気になるから教えろよー」


2人のやりとりに気付いた誠が、昇の腕をつかみ、ぶんぶん振る。


「知らないって、そんな振り回すなよ!」