図書室に着くと、そこは静寂に包まれていて、話すことがはばかられる。

だが、静かなのは、誰もいないからかもしれない。


「うわ、これ貸し切りじゃん。これなら少しくらい話しても大丈夫じゃない?」

誠が椅子に腰掛けながら言った。

そのまわりに友香と恵利子も座り、1番最後に昇も席につく。

学校の図書室になんか来たのは初めてかもしれない。

もともとあまり本を読むわけでもないから、
この空間が珍しくて、教室の端から端へと視線を走らせる。

一通り見終わってから机に目を戻すと、友香は英語と数学の教科書を出し、すでにペンを握っていた。

数学の問題で分からないところがあったらしく、それを恵利子に聞きながら解いている。

誠も教科書を出して、じっとページを見つめていた。

だが、何かが切れたようにだらんとうなだれる。


「昇…全然分からないんだけど…」

「は?どこが…」


誠の教科書を引っ張り問題の箇所を見る。