手招きされて、つい視線をそらしてしまったが、一拍おいて腰をあげた。

ゆっくりとした足取りで2人のもとへ向かうと、
ちょうど恵利子も教科書類を束ねてやってきた。


「机を4つもくっつけて勉強するのもあれだから、やっぱり図書室行かない?」


そう提案したのは恵利子だ。


「あー、そうだね。そのほうがいいかも」


言いながら友香も立ち上がって教科書をカバンに詰めはじめる。

詰める途中で「あ」と声をあげた友香はこちらに顔を向けた。


「図書室でもいい?」


軽く頷き肯定の意を示す。

昨日のこともあり、どことなくぎこちなかったが、
それはいい意味でのぎこちなさだ。


隣にいた誠にふと目をやると、にやにやしてこちらを見ていた。

照れ臭くなって、

「教科書とってくる」

と背を向け、慌てたように自分の席に戻る。

自分でも分かるほどに、少し顔が赤くなっていた。