新たに生まれた疑惑はとりあえず気にしないことにして、その日の授業は珍しく全て出た。

友香もノートを懸命にとり、先生の話を聞き逃さまいと必死であるように見えた。

そんな友香を見て、昇もこの日ばかりは、とノートにペンを走らせる。


夢のためにがんばる友香の後ろ姿は、

なんだかケーキ作りをがんばっていた父親の背中に似ていた。



もし、父さんが今でも生きてたら、俺も宮内みたいに何か夢を見ていたのかな。


また、過去のことが頭をめぐり、気分が落ち込む。

だが、友香に話してしまった分、以前ほど思い出しても苦しくはなくなった。


友香の背中を押したつもりが、また友香に背中を押してもらったような気がした。