半ば本気ともとれる言い方をした誠。

昇は「はぁ?」と言うような顔をして誠を見返す。


なんで、いきなり…

意味分かんねー…


「なんで?本気?」


思ったままに問うと、誠は笑った。


「だって昇、かなり消極的じゃん。
もっと積極的にいけよ」


いい機会じゃん、と誠は続けた。


「一緒に勉強とかすれば、2人の距離も縮まるって!
それで成績もあがれば言うことなしだろ?」


誠の目が、一瞬輝いたように見えた。

気のせいかもしれないが。

じっとこちらを見て、

「うん、って言っちゃえよ」

と言ってくる誠。

昇はついに根負けして、力なく首を縦に振った。

盛大なため息とともに。

誠はにやりと笑い、

「じゃぁ、早速言ってくるよ」

と、友香と恵利子のいる場所に駆けてゆく。

その後ろ姿を見ながら、素直に行動できる誠がうらやましくなった。