授業後、思ったとおり、誠がこちらに向かってきた。


「なぁなぁ昇、ちゃんと昨日連絡したのか?」

「あぁ、ちゃんとしたよ」

「どうだった?うまくいった?」


期待するような目でこちらを見てくる誠。

別に何があったわけでもないので、昇は息を吐き出して言う。


「別に、何もなかったけど」

「はぁ?
何してるんだよー」


明らかにがっかりした声で、誠はその場にしゃがみこむ。


「じゃぁさ、あれ。
どうしちゃったの?」


誠は、友香と恵利子が話しているのを、肩越しに指差した。

昇もその指の先を軽く見て、少し頷いた。


「テストで、いい結果出したいって言ってたから、
多分それでだと思うけど」

「へー…」


誠は考え込むように目を伏せた。


「…俺らも、一緒に勉強しない?
俺も最近成績下がってきててさ」