この日の授業は、かなり真面目に受けたのではないだろうか。

ノートにはびっしりと文字が書き込まれている。

そのノートを見るだけで、勉強をやった気になってしまう友香。

珍しくかけてきたダテ眼鏡を指で少し押し上げた。


授業中、昇の席のほうにちらりと視線をやると、昇の席は空っぽだ。


昨日、約束したのに…

あーぁ…


不安な気持ちになり、また黒板に目を向けると、後ろで扉が開く音がする。


「笹木、遅刻には気を付けろって言っただろうがー」


先生が黒板に文字を書く手を止め、今入ってきたばかりの昇に声をかけた。

休みだと思っていた昇が来たことで、やる気が出た友香は、シャーペンを持つ手の力を強めた。