次の日からバイトが始まる。
夕方から夜にかけての仕事だから、
なるべく体力は温存しておきたい。
そう思って、学校では授業中、ひたすら眠っていた。
注意はされるが、席が前のほうにあるわけではないので、
そこまで気にされることはなかった。
「寝すぎだっておまえ。さっき数学の河合、睨んでたぞ」
休み時間になるとなぜか自然と目が覚めるものだ。
そこに誠がすかさずやってきて言った。
「迷惑かけてないし…」
と昇。
寝起きの、まだ覚醒しきっていない頭で答える。
数学の河合(かわい)といえば、昇によくケチをつけてくるやつだ。
そういえばバイトをするには学校の許可がいるんだったか、
そう思い昇はめんどくささを感じた。
バイトなど、そういった処理をしているのが河合だったからだ。
寝るべきではなかったかと少し気を落としたが、
学校に律儀に許可をとることもないかと思うことにした。
バイトなんてみんな秘密でしている。


