あたふたと言った友香が、少しだけおかしくて、昇は目元を緩めて遠くを見据えた。


「文化祭で、ソロあるって嬉しそうに言ってたからさ…
俺、見に行ったんだよ」

「ぁ、うん。
見にきてくれたの、ステージから見えたよ。

…ありがとう、嬉しかった」


まさか、ステージから見えていたとは思っていなかったので、昇は少し慌てたが、
それは表には出さずに、くしゃりと頭を掻いた。


「宮内の歌、上手かったよ」

「ほんと!?」


今までベンチにおとなしく座っていた友香が、勢い良く立ち上がり聞いてきたので、


「あぁ、」


と、友香の目を見ながら返事をした。

そのまま目をそらさないように、


「だから、

宮内には“諦める”なんて言ってほしくないんだよ」