「夢を見るのは、やっぱり少し怖い…
だから、宮内にあんなこと言ったんだよ」

「あんなこと、って?」


きょとん、としたように友香は首をかしげて問う。

今までにいろいろありすぎて、どのことを言っているのか分からない。


昇は、照れたような、迷ったような、なんとも言えない顔をして、小さく喋りだした。

もともと大きくない昇の声は、小さくなって聞こえづらくなる。

友香は少しだけ昇との距離を詰めようと体を動かした。


「宮内と、初めて屋上で話したときに、」

「うん」

「夢なんて…みても馬鹿みるだけ。
…って言ったことあるだろ?」


そういえば、そんなことを言われたことがあった。

思い出して友香は、間の抜けたような顔をしてしまった。