昇は母が、慌てたようにそこに行くのを見て、後ろからついていく。

もう1度、あの光景を見たくはなかったが、母を1人にはできない。

母は変わり果てた父の姿を見て、目を大きく見開いた。

時間が止まってしまったみたいに、母は立ち止まったまま何も言わない。


昇は、その母の肩に手を置いた。

すると、それと同時に、母は崩れるように座り込み、声を出して泣いた。

昇もだんだん実感が沸いてきて、涙が出そうになった。

でも、今は自分がしっかりしないと…

泣き崩れた母の手を握ってやり、その背中をさする。

それからは、自分でも驚くくらいに冷静に警察に連絡をしたり、
動転した母をなだめるようにとずっとそばにいた。

警察が来てから遺書も見つかり、
その内容は、謝罪と、借金のことだった。