部屋に戻った昇は制服を無造作に脱ぎ捨て、楽な格好に着替えた。
それから、この前学校から配られたプリントに目をむけ、それを手にとる。
進路希望と書かれた紙を眺めて、「就職」という欄に丸をつけた。
自分には選べる進路なんてない。
考えなくても答えなんてすぐに出る。
もう1度プリントを上から下まで眺めて、昇はあることに気付いた。
保護者のサインと印鑑が必要なことに。
これを持って母のところに行くのは正直気が重かった。
自分で偽装しようかとも思ったが、こういうことは隠すべきではないし、
卒業後のことはいずれ話さなければならないことだ。
だが、まだ提出までに期限はある。
とりあえず、今日これを母に見せるのはやめておこうと、またそのプリントを机の上に戻した。


