昇は、がんばっている父が好きだった。

昔みたいに笑ってほしい。

誇らしげな顔を見せてほしい。


そう思った。


「ねぇ、父さん……」


何度目かの呼び掛けに、父はようやくこちらを見てくれた。

目をそらさないようにと昇も見返す。


「心配かけてごめんな…
昇の言うとおり、またがんばるよ」

「ほんとに?」

「あぁ」

「そっか、よかった…」


安心したような笑みをこぼすと、父はくしゃりと昇の頭に手を置いてくれた。

父も少し笑ってくれていて、また父のがんばっている姿を見れるのだと思うと昇は嬉しかった。


父の背中は、目標だから、こんなところでへこたれてほしくない。


きっと、父は昔のように戻ってくれる。

昇はそう信じた。