振り払うようにその声を無視して、昇は学校へ向かった。

だが、学校も学校で、噂好きのおばさんたちとたいして変わらなかった。

小さな学校では噂のまわりも早い。

昇が宣伝していたこともあって、ケーキ屋のことはわりと知れ渡っていた。


教室に足を踏み入れた途端に、好奇の目が昇へと向けられる。

そんな視線を感じながらも、自分の席にドカッと腰をおろした。

はっきり言って鬱陶しい。


人の不幸がそんなに楽しいのかよ。

急に手のひら返してなんだよ。


心のなかで悪態をついて、ただ机の上に視線を落とした。

そうしていると、声をかける者がいた。


「昇…」


ケーキを買いに来てくれた友達だった。

気まずそうにこちらの様子をうかがい近づいてくる。