そんな日が半年も続いた頃、物騒な顔をした男たちがやってきた。

昇はちょうど学校から帰ってきたときで、玄関の黒い革靴を見て少しだけ驚く。

家のなかの空気もなんだか重々しい。

そろりと気配を隠すようにして家に足を踏み入れる。

帰ってきたときに「ただいまー」と声を出して、
扉をガチャリと開けてしまったのであまり意味はないかもしれないが。

声がするほうに、ゆっくりと足を進めると、聞いたことのない男の声が威圧的に響いていた。

その声に昇は体をびくりと震わせる。

壁にぴたりと体を這わして、身を隠すように内容が聞き取れるまで近寄った。


「お金、いつになったら返してもらえるんですかねぇ?
こっちも早くしてもらわないと困るんですよ」


人を小馬鹿にしたような、そんな声だ。


「すみません、今すぐには無理ですが、そのうち必ず…」


追って聞こえてきた、父の弱々しい声。

昇は心臓がどくりと動くのを感じた。