次の日も、その次の日も、初日ほどではなかったが、客足は途絶えず好調であった。

このままずっと続くと思っていたのだが、1ヵ月経った頃、変化が現われた。


日に日に、少しずつではあるが減っていた客足が、この日ついにぷっつりと途絶えたのである。


「父さん…大丈夫?」


少しだけ寂しそうに見えた父親の横顔。


「あぁ、大丈夫だよ。
ケーキだって毎日食べるものでもないしな。

こんな日もあるさ」


無理して強がった笑顔は、どんな下手な俳優の演技よりも下手だった。

強がっていることは昇にも、母にも伝わり、その日のケーキは少しだけ苦い味がした。